2010年3月アーカイブ

生き抜こうとする意志

生き抜こうとする意志

「サバイバルとは主として精神上の問題であり、もっとも重要なことは、どんな困難な状況であっても、生き抜こうとする強い意志を持ちつづけることである。
これは 第2次世界大戦や朝鮮戦争、ベトナム戦争の時に、孤立を強いられた数多くの兵士達が身をもって示した事実である。

仲間が いようが いまいが、困難な状況なもとでは、絶望感や恐怖心、ショック、孤独感や倦怠感といった情緒的な問題が必ずわれわれを襲ってくる。
さらに加えて、けがや痛み、疲労や飢餓、渇きが生きる意志をそごうとする。

そんな時、これらの障害を克服し、最悪の事態を避けうるのは、生き抜こうとする強い意志を備えることである。

これが、われわれの生還のチャンスを拡大するのだ」

『サバイバルマニュアル アメリカ陸軍』鄭 仁和 訳・編 朝日ソノラマ 1982



サバイバルを考える上で 気になる映画 その1

サバイバルを考える上で 気になる映画

その1

『アライブ‐生還者‐』 http://www.seikansha.jp/

1972年アンデス山中での航空機墜落事故。

極限的なサバイバル状況のなかで、究極の選択をして、45人中16人生還。

この とても 複雑で 難しい問題を扱った ドキュメンタリー映画。(2007年制作)(DVD)

この航空機事故を扱った映画として、ほかに「生きてこそ」1993年(DVD)もある。


「----文明社会に戻ったとき、激しく苦悩する。他人に指弾されることも さることながら、罪悪感と自己嫌悪の苦しみのほうが強い。----------
払おうにも 払いきれない罪悪感はともかく、少なくとも助かったという実感があるのではないかと言ったところで、良心の呵責は軽減されないのである。」
カニバリズム『SAS サバイバル百科大全』

サバイバルを考える上で 気になる映画 その2


サバイバルを考える上で 気になる映画 その2

「八甲田山」

新田次郎『八甲田山 死の彷徨』の映画化。(DVD)

無事だった弘前隊と遭難した青森隊。両隊が対比されながら 物語が進む。

弘前隊の雪中行軍は順調に進むものの、軍隊組織でありながら 指揮命令系統の混乱が招く青森隊の悲劇。210人中199人死亡。

サバイバルとは

サバイバル

サバイバルは 単に 軍事技術というわけでもない。
一般民間人が 風水害 地震などの 天災で 普段の文明生活から一転して サバイバルの生活に陥る事もある。

また 「サバイバルの本」は 下手な登山技術の著作物を 紐解くより ずっと アウトドアでのサバイバルなど 体系的に より具体的に 分かりやすく教えてくれる。
しかし サバイバルの本や サバイバルのDVD映像も、所詮は知識情報だけの範疇でしかすぎない。

サバイバルとは 単に 知識をもつことだけで済むものでもない。
基本的に サバイバルとは生き抜こうとする強い意志を いかに最後まで 持ち続けることが出来るかという ことなのだ。

勿論 サバイバルの状況においては 無知では どうしようもない。
サバイバル知識をしっかりと体得しているという 前提であっても 豊富な知識をもちながらも つねに 新しい知識を補充・修正し続け より実践的な 経験を積み重ねていくことが肝要だ。

だが こうした 積み重ねのなかで 常に 鍛え あげていくべきなのは 「生き続けようとする 強い意志」。

仮に山で遭難しても サバイバル知識の集積 だけでは 生還できるギリギリのワンチャンスを 活かすことなど 出来ない。

刻々と変化する 自身の おかれた状況を的確に把握し 悪条件のもとでも いかにして対応するべきか 分析し 適切な行動を 熟慮のうえ 判断し、断乎として実行していって 難局をくぐり抜けて いくことができるのか。

このとき 生き抜こうとする強い意志を いかに最後まで 持ち続けることが出来るかという サバイバルの基本の「精神的な 強靭さを養う」ことがこそが 生還のチャンスを いかすことができことにつがっていくのではないだろうか?

ALIVE<奇跡の生還者達>I Shouldn't Be Alive

ALIVE<奇跡の生還者達>I Shouldn't Be Alive

http://dsc.discovery.com/fansites/alive/alive.html
生還者の壮絶なサバイバルのドキュメンタリー映像を見ることが出来るDVD、1?20巻 各巻 約50分。

ドキュメンタリー・ドラマ、ALIVE<奇跡の生還者たち>
感動のドキュメンタリー番組「I Shouldn`t Be Alive」

「絶体絶命の状況から奇跡の生還を果たした人たちの実話をリアルに再現した、ディスカバリーチャンネル制作のドキュメンタリー番組。事件や事故に遭遇した人たちがどうやって助かったか、サバイバルに不可欠なものが明らかになる。」

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20編のドキュメンタリー番組のドラマ「I Shouldn`t Be Alive」は 実際に起こった 奇跡の生還ばかりの実話集。

一編50分 DVD20巻 をじっくり拝見。一編50分 DVD20巻

登山でのサバイバルは2件だが 雪中 海 空 火山 密林 砂漠 無人島 戦場 などなど サバイバルの条件は とても厳しいものばかり。

日本国内では 想像すら つかない スケールのでかい 広大な 地帯での サバイバルばかり。

どのサバイバルも 結果的に生還でき それでよろしい、 おめでたいという という 単なる 生還物語ではない。

 たった一つのミスから次々と 綻びが拡がっていって 窮地に追い込まれていく様が 克明に再現されている。

 それでも いかに 最後の最後まで 生還への希望を捨てずに持ちこたえられたのか。
どんな時に 人間は易きに流れ 取り返しのつかない 凡ミスを重ねていくのか。

考えて 考えて よしこれしかないと 思って 最終決断した 生還への手だては 大自然の厳しさの中で 無惨にも 次々と打ち砕かれていく。

それでも 生還への希望を捨てず 何とかと思って気を取り直しても また 希望は いとも簡単に うち砕かれる。
生還への日々は その落胆の連続ばかり。

その間 体力は衰え 低体温症 凍傷 脱水症 強烈な日射による熱中障害などの 病気で 体力 気力 は低下し サバイバルへの道のりは険しくなっていって 状況は悪化していく。

 せっかく 助けにきた 捜索の航空機を 遭難者は下から 大喜びするもつかのま、 遭難者が一生懸命 手を振るもののの 下から見えたのに 上空からは結局 見つけられず 航空機は飛び去っていってしまう。

一度 生還をつかんだと 喜んだ あとの 落胆は より深い絶望感をもたらす。
翌日も 航空機は 遭難者を見つけられず また飛び去ってしまう。

こうして ドンドン深まる絶望感。

だがそれでも 希望を捨てずに 何とか 生き抜こうとする 意志の力を持ち続ける 遭難者。

最後は 結果的に 地元の住民や漁師に偶然発見されたりして、事態は 急転直下解決。

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DVD20編を見たあと さらに 下記URLサイトにある サバイバルエキスパートによる サバイバルの模範的な 行動 や サバイバルTIPS サバイバルマニュアルなどを じっくり 拝見した。役に立つ。

http://dsc.discovery.com/fansites/alive/alive.html

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凶暴な野生動物が多く 生息する地帯。

ジャングルには ジャングルのエキスパート。
砂漠には 砂漠のエキスパート。
海には 海のエキスパート。
それぞれの地域でエキスパートに習うことがたくさんある。

 留まるのが良いのか 助けを求めて 移動するのが良いのか?次々と 厳しい 判断など 判断のよりどころは どこに 求めるべきか。

それぞれの 状況に応じて 対応は異なる。

そして なにより 大事なのは準備段階。
 最初から  キチンとした準備を怠りのないように すること。

最後まで 生き抜こうとする 意志の強さが求められるのは 野外活動の 準備段階から もう すでに始まっているといえる。

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下記の実話のなかで 遭難者がGPSを使っての 場面が出てくるのは1件 だけ。

このアフリカの軽量飛行機墜落事故での、GPSも通信手段がなく 全く 遭難救助には 機能しなかった。

他の殆どのケースでは 位置情報がはっきり分かって通信手段がしっかりして いれば こんなサバイバルするような事にはならなかった。

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今日 GPS 衛星携帯電話 がさらに普及し 位置情報 全世界的通話可能な通信手段が簡単に手に入り、 コスパスサーサット衛星による EPIRB PLB ELTなど救難信号システム SPOTなどの救難システムは格段に 進歩してきている。

位置情報と 通信手段がしっかりしていれば 遭難もへるだろうが、いつでも助けに来てもらえると思えば 人間 かえって真剣に取り組む姿勢が薄れ 安易に取り組んでしまう危険性が高まる恐れもでてくる。

現代のハイテク技術の それらの電子部品が 使えないでも 基本的な対応だけで これだけの苦難を乗り越えて サバイバルができるという点で このDVDは とても多くの教訓を与えてくれ とても 良いサバイバルの勉強になりました。 

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■1.巨石の十字架?死へのカウントダウン?

 オーストラリアの島で 落石に遭い。挟まれ動けなくなる。両足切断。
 単独だったが 偶然知り合った 同行者に 通報してもらう。

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■2.ジョーズ・アタック?人喰いザメの恐怖?

 メーン州からフロリダ州へのヨット航海中、嵐で沈没し、ゴムボートで5日間220km漂流し 2人生還。3人死亡。
ヨットの 荒天への対応、浸水始めたときなど 緊急処置。退船時の 正規の救命ボートへの移動の仕方、ロープ伝いに移動するとかが欠如し 救命ボートを見 失い 窮地に陥る、 さらには SOSの発信 海図なし、クルー間の連携に難点 など 問題点が 浮かび上がる。

渇きから逃れようとして 海水を飲んだ2名は 錯乱し 死亡。

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■3.密林の迷宮?アマゾンからの脱出?

 チームワークが崩壊し バラバラに空中分解。
4人中 2人生還。うち一人は35日目生還。2人行方不明。
密林でのナビゲーションの難しさ。 川で苦労するが 川で助かる。

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■4.獣の群れ?猛獣との孤独な戦い?

 超軽量機が墜落、動けなくなる重傷したものの、野生動物の生態が分かっているので 動物の襲撃から身を守ることができ助かる。GPSはもっていたが 位置情報は得ても 通信手段なく 全く動けない。渇きとの戦い。

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■5.二重遭難?壮絶 アラスカの雪崩?

 岩壁から墜落。雪崩に遭い、クレバスに落ちる。一方 救難の 軽飛行機は 墜落。
何故 雪崩を避ける 移動をしなかったのか、通信手段を持たなかったのかが疑問。

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■6.死の漂流?太平洋の二人 友情か死か?

 シーカヤック 漂流。シーカヤック初心者には全く無理なコースなのに 友人との対抗意識だけが先走り さもベテランのように振る舞う 全くのシーカヤック初心者。謙虚さが無いのが 最大の弱点。ベテランの友人は 先に海峡を渡り 上陸し 救援を通報した。
一方 初心者は シーカヤックの操船が出来ず 海峡上で 四苦八苦のうえ こともあろうに カヤックを放棄し 海峡を泳いで 渡る決断。これが さらに窮地に追い込まれる 大失敗へと続く。
フラッシュライトなど救難用の装備もカヤックに置いてしまい 捜索の航空機は飛んでくるし 沿岸警備船も捜索するも 見つからない原因になった。
最終的に 初心者が 助かるのは 鍛え上げた 体力抜群のスポーツマンだったこと。
しかし これが 事態を甘く見て 無理をした 要因にもなった。
生還2名。

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■7.鋼鉄の棺?猛吹雪 死のドライブ?

 サンフランシスコからアイダホ州ポカテロへの家族ドライブ中、雪の中に閉じこめられる。 9日目 生後4ヶ月乳児含め生還3名。米陸軍関係者で鍛えられているためか。

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■8.戦場からの招待状?密林 ゲリラからの逃避行?

地雷除去のボランティアなのに クメールルージュに囚われる。何とか無事生還。だが二年後アフリカで地雷爆発。片手 片足 失うものの その後、サハラマラソン 見事完走。

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■9.死の無人島?幻想の楽園 決死のサバイバル?

 荒天で釣り船難破。メキシコ 無人島に漂着。島で数日 サバイバル生活し。2名生還。
 スペイン語が役に立つ。

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■10.冷血の洞窟?親子の絆 死のスキー旅行?
 
親子で トルコ スキー下降中に悪天候で道迷い。洞窟へ避難。10日目、2名生還。
サバイバル訓練受けている米空軍所属。

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■11.暗黒の漂流?失われたバケーション?

 メキシコで飛行機墜落 海で漂流 4人生還。墜落時 正確な位置を緊急通報出来なかった。救命胴衣 信号 救難グッズが不足。捜索の航空機に 漂流者がシグナル合図できない。

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■12.地獄の空中撮影?灼熱噴火口からの脱出?

 ハワイ活火山 火口にヘリ不時着。3人全員生還。

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■13.死神の棲む峡谷?兄弟の絆 極寒の試練?

 ユタ州 溪谷歩きで 一名骨折動けなくなるが 無事2名生還
 時間配分に失敗 焦りから 転落。

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■14.荒野の墓標?壮絶 カラハリ砂漠からの脱出?

 アフリカ飛行機事故 6日目 生還。位置の把握が出来ず 飛行コースを誤って飛んでいて その後も その失敗に気がつかなかった。

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■15.死のラフティング?巨大グリズリーからの逃避行?

 親子でアラスカ 筏下り するが沈没 失敗。川下りのシーズン一番乗りを目指して 例年のシーズンイン半月前に入って まだ凍結した川に 遭遇。沈没、装備失い サバイバル。
うち一名が 救援を求めて 行くが 大河で渡河できず 行き詰まる。結局 5日目 2名生還。

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■16.ボーイスカウト 死の散策?グランドキャニオンの悲劇?

 ガイドも動けなくなる 気温上昇で水不足。渇き 1名死亡。

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■17.ザンベジ川の生贄?影なき捕食者たちの恐怖?

 川で ボート沈没。全員生還。救命胴衣不十分。水中の野生動物の動きに注意。

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■18.死地への案内図?アマゾン 出口なき彷徨?

 道迷い、地図無し。話に夢中 ルートを見失う。それでも 迷ったところから 注意深く 戻れば 良かったのが うろ覚えの地図で方位逆方向に彷徨。深みに入り。6日目 2名生還。

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■19.死界への浮上?恐怖のスキューバダイビング?

 ダイビングして浮上したら ボートが遠くに離れて漂流、27時間、鮫の海を 30km泳いで 生還2名。
漂流対策のシグナル類 ダイブアラート、シグナルフロートなど。装備無し。さらには船の乗組員の能力 注意不足など 悪いことが重なった。

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■20.悪夢のホワイトアウト?標高6000メートルの猛吹雪?

 アラスカ マッキンリー 悪天候 3名生還。悪天候に対する予測が甘かった。
5900mくらいで ヘリ救助。

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BLOG記事
ALIVE<奇跡の生還者達>I Shouldn't Be Alive

日本国内の 山岳遭難で 生還できた 例


日本国内の 山岳遭難で 生還できた 例は 下記の 本などに出ている。

生還 山岳遭難からの救出』羽根田 治 著 山と溪谷社 2000年

山の遭難 生きた、還った セルフレスキューの秘訣』永田 秀樹 編 東京新聞出版部 2005年


些細なミスから 窮地に陥り さらに天候など 状況が悪くなっても、なんとか 無事に 救出されたのは 運が良かったのだろうが 生還への強い意志をもちつづけていなくては 運が巡ってこなかった。

判断ミスが 状況を悪化させ さらに 負の連鎖となる 判断ミスに続き さらに 窮地に陥る。絶望の淵でも まだ 最後まであきらめることなく 生還への 強い意志を持ち続けること。


救出の航空機に見つけてもらえず がっくりと 気落ち。
しかし 希望を捨てずまた次の チャンスのために 生き抜こうとする 強い意志。

最後まで 諦めなかった 強い精神力を持ち続けることで生還できた。
しかし サバイバルの本を読むだけでは 強い意志を持ち続けることなど 難しい。

ALIVE<奇跡の生還者達>I Shouldn't Be Alive

無事生還した後で 


壮絶なサバイバル体験をへて 何とか無事生還した後で 

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■「I Shouldn`t Be Alive」巻の終わりに

ドキュメンタリー番組のドラマ「I Shouldn`t Be Alive」

ドキュメンタリー番組のドラマ「I Shouldn`t Be Alive」では 無事救出され 生還した後 巻の終わりに その後 現在では 生還者がどういう生活をし アウトドア行動など再開しているかなど ワンフレーズで簡単に触れている。

地雷で片手 片腕 失っても サハラ・マラソンを完走する人もいるが、もう ダイビングはしないとか、釣りはしないとか 不明になった人をさらに捜し求めて 奔走するとか 人それぞれに 様々な サバイバル後の人生を送ることになるのは 大変 興味深いことである。

実は極限的な サバイバル体験をして 無事救出されても その人にとっては あまりに強烈な体験だっただけに 精神的な後遺症に悩む場合が多いようだ。

これをPTSD(心的外傷後ストレス障害)と単純にいっていいのか はよく分からない。

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■トムラウシ遭難の生還者

「トムラウシ遭難事故を考える」シンポジウム2010年2月27日開催

「トムラウシ遭難事故を考える」シンポジウムで生還者の発言。

「つらい事ばかりで何も言いたくないが、 生きて 帰ってきた者としては 生きて 帰ってきたこと自体が罪になるのではないかという気持ちです。生還した人は これから 十字架を 背負って生きていくのではないかと思う。」

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■『ドキュメント道迷い遭難』

『ドキュメント道迷い遭難』

『ドキュメント道迷い遭難』 羽根田 治 著  山と溪谷社 2006年1月のなかで 道迷い遭難後、無事生還したものの、その後の対応で すっかり消耗し、精神的ダメージを受けた例がでていた。

 「-----山にも殆ど行っていない。騒動のあと心因性の神経症にかかってしまい、躁鬱や 対人恐怖 過食 過飲 引きこもり などに苦しむ日が長らく続いたからだ。------かつての山仲間も「早くカムバックして山に行こう」と声をかけてくれる。が、あれほど楽しかった山にまた行きたいと思えるまでには、まだ至っていない。あのときのトラウマは、いまだ癒えずにいる。」
『ドキュメント道迷い遭難』 羽根田 治 著  山と溪谷社 2006年1月

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■太平洋37日間漂流 元船長 まだ 漂流が続いていた。

サバイバル状況から脱出して 無事 生還した後も まだ 色々なことが 出てくるのは あまりにきつい精神的なダメージにより 精神的な不安定さを引き起こし PTSDとかいわれる症状になったからだろうか。

太平洋を37日間漂流し 無事 救出されたの 某 元船長は『あきらめたから いきられた太平洋37日間漂流船長はなぜ生きられたのか。』の本の出版や 講演で 一時 引っ張りだこになる。

その結果 収入が増え 漁業からも遠ざかり アルコール依存症、精神科入院、路上生活の末、窃盗事件で有罪の判決という経過をたどった。

元船長にとって37日の漂流の後の あの「奇跡の生還」もたんなる 一時的な「仮の生還」にしかすぎず 平穏な漁業生活を続けられるような 本当の意味での生還にはほど遠く その後も まだ まだ 漂流が続いていくことになった。

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■罪悪感を乗り越える

「さまざまな状況に我々を追いこむサバイバル環境は、時として予期せぬことを準備し、悲惨な場面すら用意している。

生命の損失があったことは、軍事的使命または事故の一つの結果である。

生き残ったのは、おそらく自分一人か数名だろう。

当然 、生きていることに安堵する一方、不運にも死んだ仲間を嘆き悲しむに違いない。

仲間が死んで自分が生き残ったことに罪の意識を持つのは稀なことではない。

この感情が積極的に利用された場合、これまでの幾多の例でも、この感情は「生き残った者は人生において、より大きな目的を成すために生かされたのだ」と信じることによって、サバイバーに過酷な障害に立ち向かう勇気を与えてきた。

あるいは、死んだ者の遣り残した仕事を彼らに代わって遂行するために生きようとする生還目的と生存意欲を与えてきた。

君が君自身に与える理由が何であれ、死者への罪悪感が生への妨げにならないようにしなければならない。

生き残ろうとした死者たちの意志を放棄した生き方では、何も成し遂げられない。そのような行動は最大の悲劇となる。」

「米陸軍サバイバル全書」並木書房2002 鄭 仁和訳

無事生還した後で



ドキュメンタリー・ドラマ、ALIVE<奇跡の生還者たち>
感動のドキュメンタリー番組「I Shouldn`t Be Alive」
「絶体絶命の状況から奇跡の生還を果たした人たちの実話をリアルに再現した、ディスカバリーチャンネル制作のドキュメンタリー番組。事件や事故に遭遇した人たちがどうやって助かったか、サバイバルに不可欠なものが明らかになる。」

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20編のドキュメンタリー番組のドラマ「I Shouldn`t Be Alive」は 実際に起こった 奇跡の生還ばかりの実話集。

一編50分 DVD20巻 をじっくり拝見。


登山でのサバイバルは2件だが 雪中 海 空 火山 密林 砂漠 無人島 戦場 などなど サバイバルの条件は とても厳しいものばかり。

日本国内では 想像すら つかない スケールのでかい 広大な 地帯での サバイバルばかり。

どのサバイバルも 結果的に生還でき それでよろしい、 おめでたいという という 単なる 生還物語ではない。

 たった一つのミスから次々と 綻びが拡がっていって 窮地に追い込まれていく様が 克明に再現されている。

 それでも いかに 最後の最後まで 生還への希望を捨てずに持ちこたえられたのか。

どんな時に 人間は易きに流れ 取り返しのつかない 凡ミスを重ねていくのか。

考えて 考えて よしこれしかないと 思って 最終決断した 生還への手だては 大自然の厳しさの中で 無惨にも 次々と打ち砕かれていく。

それでも 生還への希望を捨てず 何とかと思って気を取り直しても また 希望は いとも簡単に うち砕かれる。

生還への日々は その落胆の連続ばかり。

その間 体力は衰え 低体温症 凍傷 脱水症 強烈な日射による熱中障害などの 病気で 体力 気力 は低下し サバイバルへの道のりは険しくなっていって 状況は悪化していく。

 せっかく 助けにきた 捜索の航空機を 遭難者は下から 大喜びするもつかのま、 遭難者が一生懸命 手を振るもののの 下から見えたのに 上空からは結局 見つけられず 航空機は飛び去っていってしまう。

一度 生還をつかんだと 喜んだ あとの 落胆は より深い絶望感をもたらす。

翌日も 航空機は 遭難者を見つけられず また飛び去ってしまう。

こうして ドンドン深まる絶望感。

だがそれでも 希望を捨てずに 何とか 生き抜こうとする 意志の力を持ち続ける 遭難者。

最後は 結果的に 地元の住民や漁師に偶然発見されたりして、事態は 急転直下解決。

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DVD20編を見たあと さらに 下記URLサイトにある サバイバルエキスパートによる サバイバルの模範的な 行動 や サバイバルTIPS サバイバルマニュアルなどを じっくり 拝見した。役に立つ。

http://dsc.discovery.com/fansites/alive/alive.html

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凶暴な野生動物が多く 生息する地帯。

ジャングルには ジャングルのエキスパート。
砂漠には 砂漠のエキスパート。
海には 海のエキスパート。
それぞれの地域でエキスパートに習うことがたくさんある。

 留まるのが良いのか 助けを求めて 移動するのが良いのか?次々と 厳しい 判断など 判断のよりどころは どこに 求めるべきか。

それぞれの 状況に応じて 対応は異なる。

そして なにより 大事なのは準備段階。
 最初から  キチンとした準備を怠りのないように すること。

最後まで 生き抜こうとする 意志の強さが求められるのは 野外活動の 準備段階から もう すでに始まっているといえる。

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下記の実話のなかで 遭難者がGPSを使っての 場面が出てくるのは1件 だけ。

このアフリカの軽量飛行機墜落事故での、GPSも通信手段がなく 全く 遭難救助には 機能しなかった。

他の殆どのケースでは 位置情報がはっきり分かって通信手段がしっかりして いれば こんなサバイバルするような事にはならなかった。

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今日 GPS 衛星携帯電話 がさらに普及し 位置情報 全世界的通話可能な通信手段が簡単に手に入り、 コスパスサーサット衛星による EPIRB PLB ELTなど救難信号システム SPOTなどの救難システムは格段に 進歩してきている。

位置情報と 通信手段がしっかりしていれば 遭難もへるだろうが、いつでも助けに来てもらえると思えば 人間 かえって真剣に取り組む姿勢が薄れ 安易に取り組んでしまう危険性が高まる恐れもでてくる。

現代のハイテク技術の それらの電子部品が 使えないでも 基本的な対応だけで これだけの苦難を乗り越えて サバイバルができるという点で このDVDは とても多くの教訓を与えてくれ とても 良いサバイバルの勉強になりました。 

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■1.巨石の十字架?死へのカウントダウン?

 オーストラリアの島で 落石に遭い。挟まれ動けなくなる。両足切断。
 単独だったが 偶然知り合った 同行者に 通報してもらう。

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■2.ジョーズ・アタック?人喰いザメの恐怖?

 メーン州からフロリダ州へのヨット航海中、嵐で沈没し、ゴムボートで5日間220km漂流し 2人生還。3人死亡。
ヨットの 荒天への対応、浸水始めたときなど 緊急処置。退船時の 正規の救命ボートへの移動の仕方、ロープ伝いに移動するとかが欠如し 救命ボートを見 失い 窮地に陥る、 さらには SOSの発信 海図なし、クルー間の連携に難点 など 問題点が 浮かび上がる。

渇きから逃れようとして 海水を飲んだ2名は 錯乱し 死亡。

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■3.密林の迷宮?アマゾンからの脱出?

 チームワークが崩壊し バラバラに空中分解。
4人中 2人生還。うち一人は35日目生還。2人行方不明。
密林でのナビゲーションの難しさ。 川で苦労するが 川で助かる。

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■4.獣の群れ?猛獣との孤独な戦い?

 超軽量機が墜落、動けなくなる重傷したものの、野生動物の生態が分かっているので 動物の襲撃から身を守ることができ助かる。GPSはもっていたが 位置情報は得ても 通信手段なく 全く動けない。渇きとの戦い。

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■5.二重遭難?壮絶 アラスカの雪崩?

 岩壁から墜落。雪崩に遭い、クレバスに落ちる。一方 救難の 軽飛行機は 墜落。
何故 雪崩を避ける 移動をしなかったのか、通信手段を持たなかったのかが疑問。

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■6.死の漂流?太平洋の二人 友情か死か?

 シーカヤック 漂流。シーカヤック初心者には全く無理なコースなのに 友人との対抗意識だけが先走り さもベテランのように振る舞う 全くのシーカヤック初心者。謙虚さが無いのが 最大の弱点。ベテランの友人は 先に海峡を渡り 上陸し 救援を通報した。
一方 初心者は シーカヤックの操船が出来ず 海峡上で 四苦八苦のうえ こともあろうに カヤックを放棄し 海峡を泳いで 渡る決断。これが さらに窮地に追い込まれる 大失敗へと続く。
フラッシュライトなど救難用の装備もカヤックに置いてしまい 捜索の航空機は飛んでくるし 沿岸警備船も捜索するも 見つからない原因になった。
最終的に 初心者が 助かるのは 鍛え上げた 体力抜群のスポーツマンだったこと。
しかし これが 事態を甘く見て 無理をした 要因にもなった。
生還2名。

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■7.鋼鉄の棺?猛吹雪 死のドライブ?

 サンフランシスコからアイダホ州ポカテロへの家族ドライブ中、雪の中に閉じこめられる。 9日目 生後4ヶ月乳児含め生還3名。米陸軍関係者で鍛えられているためか。

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■8.戦場からの招待状?密林 ゲリラからの逃避行?

地雷除去のボランティアなのに クメールルージュに囚われる。何とか無事生還。だが二年後アフリカで地雷爆発。片手 片足 失うものの その後、サハラマラソン 見事完走。

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■9.死の無人島?幻想の楽園 決死のサバイバル?

 荒天で釣り船難破。メキシコ 無人島に漂着。島で数日 サバイバル生活し。2名生還。
 スペイン語が役に立つ。

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■10.冷血の洞窟?親子の絆 死のスキー旅行?
 
親子で トルコ スキー下降中に悪天候で道迷い。洞窟へ避難。10日目、2名生還。
サバイバル訓練受けている米空軍所属。

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■11.暗黒の漂流?失われたバケーション?

 メキシコで飛行機墜落 海で漂流 4人生還。墜落時 正確な位置を緊急通報出来なかった。救命胴衣 信号 救難グッズが不足。捜索の航空機に 漂流者がシグナル合図できない。

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■12.地獄の空中撮影?灼熱噴火口からの脱出?

 ハワイ活火山 火口にヘリ不時着。3人全員生還。

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■13.死神の棲む峡谷?兄弟の絆 極寒の試練?

 ユタ州 溪谷歩きで 一名骨折動けなくなるが 無事2名生還
 時間配分に失敗 焦りから 転落。

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■14.荒野の墓標?壮絶 カラハリ砂漠からの脱出?

 アフリカ飛行機事故 6日目 生還。位置の把握が出来ず 飛行コースを誤って飛んでいて その後も その失敗に気がつかなかった。

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■15.死のラフティング?巨大グリズリーからの逃避行?

 親子でアラスカ 筏下り するが沈没 失敗。川下りのシーズン一番乗りを目指して 例年のシーズンイン半月前に入って まだ凍結した川に 遭遇。沈没、装備失い サバイバル。
うち一名が 救援を求めて 行くが 大河で渡河できず 行き詰まる。結局 5日目 2名生還。

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■16.ボーイスカウト 死の散策?グランドキャニオンの悲劇?

 ガイドも動けなくなる 気温上昇で水不足。渇き 1名死亡。

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■17.ザンベジ川の生贄?影なき捕食者たちの恐怖?

 川で ボート沈没。全員生還。救命胴衣不十分。水中の野生動物の動きに注意。

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■18.死地への案内図?アマゾン 出口なき彷徨?

 道迷い、地図無し。話に夢中 ルートを見失う。それでも 迷ったところから 注意深く 戻れば 良かったのが うろ覚えの地図で方位逆方向に彷徨。深みに入り。6日目 2名生還。

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■19.死界への浮上?恐怖のスキューバダイビング?

 ダイビングして浮上したら ボートが遠くに離れて漂流、27時間、鮫の海を 30km泳いで 生還2名。
漂流対策のシグナル類 ダイブアラート、シグナルフロートなど。装備無し。さらには船の乗組員の能力 注意不足など 悪いことが重なった。

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■20.悪夢のホワイトアウト?標高6000メートルの猛吹雪?

 アラスカ マッキンリー 悪天候 3名生還。悪天候に対する予測が甘かった。
5900mくらいで ヘリ救助。

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ALIVE<奇跡の生還者達>I Shouldn't Be Alive

感動のドキュメンタリー番組「I Shouldn`t Be Alive」

サバイバルとは



2010年3月13日 第1版制作

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地図拡大
一般国道439号・菅生バイパス 平成22年3月22日(月)開通



概念図



菅生バイパス


菅生大橋


菅生大橋から 祖谷川上流の眺め 砂防堰堤が連続


いやしの温泉?入り口の案内標識 ここの「剣山」が わかりにくい



東祖谷山村 の時代には 考えられなかった大きな 選挙ポスター掲示看板。


1 菅生バイパスの概要
(1)事業名     緊急地方道路整備事業
(2)路線名     一般国道439号
(3)工事箇所    三好市東祖谷菅生
(4)事業開始    平成10年度
(5)延長・幅員    延長L=1.0km、車道3.0m×2車線、全幅8.0m

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平成13年(2001年)京上トンネル開通


平成15年(2003年)竜宮トンネル開通

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平成22年3月27日

壮絶なサバイバル体験をへて 何とか無事生還した後で 

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■「I Shouldn`t Be Alive」巻の終わりに

ドキュメンタリー番組のドラマ「I Shouldn`t Be Alive」では 無事救出され 生還した後 巻の終わりに その後 現在では 生還者がどういう生活をし アウトドア行動など再開しているかなど ワンフレーズで簡単に紹介している。

地雷で片手 片腕 失っても サハラ・マラソンを完走する人もいるが、もう ダイビングはしないとか、釣りはしないとか 不明になった人をさらに捜し求めて 奔走するとか 人それぞれに 様々な サバイバル後の人生を送ることになるのは 大変 興味深いことである。

実は極限的な サバイバル体験をして 無事救出されても その人にとっては あまりに強烈な体験だっただけに 精神的な後遺症に悩む場合が多いようだ。

これをPTSD(心的外傷後ストレス障害)と単純にいっていいのか はよく分からない。

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■トムラウシ遭難の生還者

「トムラウシ遭難事故を考える」 シンポジウム2010年2月27日開催

「トムラウシ遭難事故を考える」シンポジウムで生還者の発言。

「つらい事ばかりで何も言いたくないが、 生きて 帰ってきた者としては 生きて 帰ってきたこと自体が罪になるのではないかという気持ちです。生還した人は これから 十字架を 背負って生きていくのではないかと思う。」

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■『ドキュメント道迷い遭難』

『ドキュメント道迷い遭難』 羽根田 治 著  山と溪谷社 2006年1月
のなかで 道迷い遭難後、無事生還したものの、その後の対応で すっかり消耗し、精神的ダメージを受けた例がでていた。

 「山にも殆ど行っていない。騒動のあと心因性の神経症にかかってしまい、躁鬱や 対人恐怖 過食 過飲 引きこもり などに苦しむ日が長らく続いたからだ。---(中略)---かつての山仲間も「早くカムバックして山に行こう」と声をかけてくれる。が、あれほど楽しかった山にまた行きたいと思えるまでには、まだ至っていない。あのときのトラウマは、いまだ癒えずにいる。」
『ドキュメント道迷い遭難』 羽根田 治 著  山と溪谷社 2006年1月

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■太平洋37日間漂流 元船長 まだ 漂流が続いていた。

サバイバル状況から脱出して 無事 生還した後も まだ 色々なことが 出てくるのは あまりにきつい精神的なダメージにより 精神的な不安定さを引き起こし PTSDとかいわれる症状になったからだろうか。

太平洋を37日間漂流し 無事 救出されたの 某 元船長は『あきらめたから いきられた太平洋37日間漂流船長はなぜ生きられたのか。』の本の出版や 講演で 一時 引っ張りだこになる。

その結果 収入が増え 漁業からも遠ざかり アルコール依存症、精神科入院、路上生活の末、窃盗事件で有罪判決という経過をたどった。

元船長にとって37日の漂流の「奇跡の生還」もたんなる 一時的な「仮の生還」にしかすぎず 平穏な漁業生活を続けられるような 本当の意味での生還にはほど遠く その後も まだ まだ 漂流が続いていくことになった。

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■罪悪感を乗り越える

「さまざまな状況に我々を追いこむサバイバル環境は、時として予期せぬことを準備し、悲惨な場面すら用意している。

生命の損失があったことは、軍事的使命または事故の一つの結果である。

生き残ったのは、おそらく自分一人か数名だろう。

当然 、生きていることに安堵する一方、不運にも死んだ仲間を嘆き悲しむに違いない。

仲間が死んで自分が生き残ったことに罪の意識を持つのは稀なことではない。

この感情が積極的に利用された場合、これまでの幾多の例でも、この感情は「生き残った者は人生において、より大きな目的を成すために生かされたのだ」と信じることによって、サバイバーに過酷な障害に立ち向かう勇気を与えてきた。

あるいは、死んだ者の遣り残した仕事を彼らに代わって遂行するために生きようとする生還目的と生存意欲を与えてきた。

君が君自身に与える理由が何であれ、死者への罪悪感が生への妨げにならないようにしなければならない。

生き残ろうとした死者たちの意志を放棄した生き方では、何も成し遂げられない。そのような行動は最大の悲劇となる。」

「米陸軍サバイバル全書」並木書房2002 鄭 仁和訳

サバイバルとは

「トムラウシ遭難事故を考える」シンポジウム

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トムラウシの遭難シンポジウウム資料


「トムラウシ遭難事故を考える」シンポジウム

「トムラウシ遭難事故を考える」シンポジウム。2010年2月27日開催

共催 社団法人日本山岳協会、日本勤労者山岳連盟、日本山岳サーチアンドレスキュー研究機構 

13:00    開会 総合司会  古賀英年

挨拶 内藤順造(社団法人日本山岳協会副会長・専務理事)

13:10---13:25 ?.戸田氏による「トムラウシからの生還」  (15分)

13:25---15:30 ?.トムラウシ遭難事故の原因と背景について

座長 村越真 {8人×15分(発表12分、質疑3分)=2時間}

?(報道側から見た)トムラウシ山岳遭難事故の外観と推移
岩城史枝(岳人編集部)
?山岳遭難事故におけるトムラウシ問題の位置づけ
青山千彰(IMSARJ)
?トムラウシ遭難時の山岳気象について
城所邦夫(元気象庁山岳部)
?トムラウシにおける低体温症について
船木上総(苫小牧東病院副院長)
?マスコミの問いに対する、登山専門旅行会社の見解
黒川 惠(アルパインツアーサービス株式会社代表取締役)
?ガイドの意思決定のあり方について
磯野剛太(社団法人日本山岳ガイド協会理事長)
?トムラウシ遭難事故の法的問題
溝手康史(弁護士)
?山岳団体から見たトムラウシ問題
西内博(社団法人日本山岳協会遭難対策委員長)

15:30---15:40 休憩

後半の部; 8人のパネリストと、会場の参加者との共同討議 

座長 青山千彰

15:40---16:40 事故の原因と問題点に関する総合討議

16:40---17:30 ツアー登山における遭難事故防止のあり方について

17:30 閉会挨拶 井芹昌二(日本勤労者山岳連盟副・遭対委員長)


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日本山岳サーチアンドレスキュー研究機構
「トムラウシ遭難事故を考える」シンポジウムの当日の資料集
「トムラウシ遭難事故を考える」シンポジウムの当日の資料集(上の写真)が下記URLにて配布されています。(PDFファイルにてダウンロードできます。)

http://www.imsar-j.org/2009-04-23-09-38-06/2009-04-23-10-26-43/97-2010-03-04-08-13-46.html

社団法人 日本山岳ガイド協会 トムラウシ山遭難事故調査特別委員会による
トムラウシ山遭難事故調査報告書(最終報告書)

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シンポジュウム


トムラウシ シンポジウムで 感じたこと


2009年7月 トムラウシ山の遭難事故

ツアー登山による 大きな山岳遭難事故(ツアー登山2009)

日本山岳ガイド協会の報告書[トムラウシ山遭難事故調査報告書(最終報告書)]なども 今般 だされたが 事故の再発防止の観点から 早急にしなければならないことなど 一杯ある。

シンポジウム会場では色々な観点から 活発な討議がなされた。


遭難事故の責任追及でなく 事故の再発防止を第一に考えて討議するという とても参考になった いいシンポジウムであった。

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昨今の登山の風潮として

■なぜ トムラウシなのか いわゆる「著名山ブーム」

遠路 わざわざ 限定された 時間で 悪天候の中でも 無理して ピークハント の縦走を ツアー登山するというのも  著名山ブームに踊らされているのでは?

 もっと 他に違う登りかたで登ったり  他にいい 登るべき山は たくさん あるのでは? 

■旅程保証義務 と 安全配慮義務

表向きの 建前としては 安全が優先するのだが、本音 としては 著名山 ピークハント のツアー参加者からの強い要望などあって ガイドも エスケープ後の旅程日程の調整などなど 面倒な手続き 更には 会社からの評価など 考慮すると 少々の悪天候でも強行しやすいのが現状なのだろう。

■みんなでいけば 大丈夫? 

雪崩危険地帯でもそうだが 悪天が予想されても 皆が行っているから 大丈夫だろうと つい つられてしまう 危険が潜んでいる。

報告書の中にもでているが、2009年7月16日 ヒサゴ沼避難小屋で 出発を躊躇っていた 組織登山者の一行もツアー登山の遭難パーティーにつられて 30分後に小屋を出発した。

一行は 途中で遭難パーティーを追い抜き 何とか無事だった。


■「引率型登山」が増えてきているとか

 学校集団登山 ツアー登山 ガイド登山などが 典型的な「引率型登山」だったのだが 今日 その引率型が 流行のように どんどん広まってきているという。


■組織登山も 高齢化

かつては 山岳会、山岳部など一定の組織の傘下にある組織登山者にたいし、未組織の いわゆる未組織登山者の問題がおおきな課題であったが  組織登山団体も 今日 高齢化してきた。

本来 自己責任の原則で 活発な登山活動を行っていた 組織登山者も 高齢化してして、会には 後継の若年者がいない のが現状だ。


■組織登山者も 教育機能が低下

未組織登山者にたいし 組織化されて 一定の教育機能を持っていた組織登山者の所属する 一般山岳会も いまでは 若年層が減少し 全体的に 高齢化し 老から若への教育機能が低下している。

その結果 老から老 さらには 結局は 引率型登山の組織へとなりつつある。

■組織登山団体も引率型へ?


端的に言えば「連れていって」

自分で登る山を探し 計画し 山を登ることしかなかった時代から 山といえば ツアー登山か 引率型一般山岳会・同好組織・NPO組織などなんでもいいのだが 誰かに連れていってもらう という形へと 変化しているという。

■安全配慮義務
 
「引率型登山」となれば リーダーに安全配慮義務がでてくる。
 

■トムラウシでは 「ツアー登山」の問題だったが

 引率型登山では 事故でもあれば 山岳会・同好組織・NPO組織でも 安全配慮義務が問われる。

安全配慮義務の 商業ツアー登山だけでなく NPO組織 山岳団体でも 民事責任が問われる。 

引率型登山から
登山者のレベルアップをいかにするか?
リーダーも責任が重い。


■主体性をとりもどすこと

他人任せの「連れっていって」の引率期待型の登山者を いかに 登山者本来の 主体性をどう確立して 自立できる 登山者にレベルアップするべきか?

難しい課題だが これから 考えていかなくては いけないと思う。


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青山教授


トムラウシ山遭難事故に関して 今後の教訓として 思いついたこと
「トムラウシ遭難事故を考える」シンポジウム
 トピック的に 

■1 ザックカバー

強風下で 経験することだが どんなに 強固に固定していても 大体 ザックカバーは 風速15-20m/sec以上になると 飛ばされる事が多くなる。

このとき 流し止めの紐などで しっかり固定していかないと飛んでいってしまう。

もともと ザックカバーなどという しなものは 軽い横風の程度では使えるかもしれないが  強風雨 風雪のもとでの使用は想定していないものだ。

はっきり言って 強風雨 風雪のもとでは ザックカバーは 全く使い物にならないどころか ザックカバーを直しているうちに パーティーからはぐれてしまって 遭難した例も過去にはあるなど、 悪天候時にはザックカバーなど厄介なものになるだけだ。


もちろん 強風での行動を控えるのが一番望ましいのだが もし どうしても強風の風雨 風雪 の天候でも  行動するというのなら ザックカバーに頼らず ザックの内味で濡れたら困るものなど 個々の内容物をしっかり 濡れないよう しっかり防水対策しておくことが むかしからの山屋の常識なのだ。

そういえば もとはといえばザックカバーなど 低山ハイカー向きのもので 沢屋は わざわざ ザック本体に 排水穴を開けるなど、昔の山屋には 全く無縁のものだった。

 

トムラウシ遭難パーティーではザックカバーが飛ばされる報告があった。

もっとも ザックカバーが飛ばされる程度の風が吹くということは かなりきつい風雨だから 一般的な山歩きでは 行動を慎重にという シグナルがでていると 感じるべきなのだろう。


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シンポジューム


■2 低体温症対策 「頭を冷やすな」


トムラウシ遭難事故の 直接の遭難原因は 強風雨と低温での行動で 低体温症となったことだった。

低体温症で 行動が鈍くなり 中でも 頭脳を冷やして 正常な判断能力が低下。

冷静な判断を下せば 色々と対策が出来たことも 判断力低下で 次々と 深みにはいっていってしまい さらに 低体温症を悪化させてしまう。

低体温症対策は 結局「予防しかない」という。

状況が悪くないときに 頭を冷やさない ようにし 低体温症予防処置をする必要を痛感した。

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「本遭難の直接的原因である低体温症は、予知が難しく、教科書どおりにはいかない。初期段階での対応が肝心だが、それより以前にガイドは、雨、風、気温、年齢、体力、補給すべきエネルギー(カロリー)など、どのような状況、あるいは環境になったら低体温症の危険があるか学習し、よく理解しておく必要がある。」
トムラウシ山遭難事故調査報告書(最終報告書)


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■3 携帯電話


携帯電話の普及で 安易な救助要請が増えた という指摘もある。

山の原則は あくまで自力で無事下山すること。

まず第一の基本原則は なんとしても無事自力で下山することに最大の努力を払うべきだ。

その原則を前提としても 万が一 不幸にして 救助を要請しなければならない事態に陥ったとしたら、諸刃の文明の利器といえるのが 携帯電話。

2009年7月16日 トムラウシでの遭難の 救助要請も携帯電話で 行ったが遭難パーティーは 7月14日 避難小屋では携帯電話で天気情報も入手した。

何故 もっと はやく救助要請をとか もっと 詳細なウェザー情報を取得しなかった とかいわれるのも 携帯電話があるからこそで、連絡がつけば 色々と出来ることが沢山でき 選択肢が増えるのである。

低体温症でない 冷静な判断能力を維持して 通話可能な場所をチェックするなど 非常時なら携帯電話を活用できるよう 普段から訓練として 色々なシミュレーションも 考えておくべきだ。

なお 最近の携帯電話の新機種にはGPS機能が付属している。

GPSをもっていて うまく活用できれば 道迷い遭難はぐっと減る。

それでも 万が一遭難し 救助要請するというのなら  GPS位置情報もチェックし通報しておけば  救助に向かう捜索範囲をピイポイントに狭めて 救助を素早くできる。

GPS、 遭難した時、救出養要請するとき、あるいは遭難防止対策に 是非活用したい。

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■4 地上風は 地形で左右される


2009年7月15日 トムラウシ山付近では 南からの風は 地形的な要素で弱まり 雨はふったものの風がなかった。翌 7月16日は 風向きは変わり 横からの強風雨となった。

気圧配置で変わる 風向きなどは 山の上では 山の地形で地上風は風の強さ 風向きなど 大きく左右される。

山間地では この位置では この風向 風力、 ここでは 違う 風向 風力と 地形で左右されてしまう。

出発時点での風雨 風向と 途中の各ポイント。

地形図で予測も出来るが 多分に 経験的な要素が多い。

ここで この風で あそこなら どのくらいの風。 予測がつけば 対応も出来る。

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■5 山では「はやめに 天候が悪化」し 「天候回復も遅れる」

「昼からは晴れる」とかいう 平地での天気予報を聞いて 山へ行くと 大体において 思ったより天気が悪いのは 山では いつものことである 。

一般的な天気予報は平地での予測。
平地では 気圧の中心で判断するが、気圧の周辺部でも 山の天気は影響する。

だから 山地では、タイムリードというか 数時間は早く悪化、 回復もタイムラグで数時間 いや半日以上 かも知れないが ずれがある。

「昼からは晴れる」というのは 平地でのことであって、常に早めの 変化が現れ 回復も遅れるのが 山の天気だ。

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■6 一方は遭難 一方は無事。

2009年7月16日 無事トムラウシ温泉へ到着した某パーティーがあった。

7月16日朝 遭難パーティーの出発から30分後 ヒサゴ沼避難小屋をでた組織登山者のパーティーは リーダーとサブリーダーの意見の相違はあったり 多少の低体温症になったりしながらも 全員無事トムラウシ温泉へ到着した。

一方は遭難 一方は無事という現実。

遭難パーティーとの 違いは 一体 どこに あったのか ガイド協会の事故報告書にでていた。

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「このパーテイがアミューズPと同じ時間、同じコース、同じ気象条件下でありながら無事下山できた理由は、周到な準備、仲間意識、前日の短い行程による体力の温存、長時間の停滞がなかったこと、などが挙げられる。
しかし、天候の予測とパーティの行動決定については、意見をまとめることに苦慮していた。行動に不安を感じたら、やはり安全策を優先させるべきだろう。結果的に無事下山できたとはいえ、あの悪天候の中、ヒサゴ沼の避難小屋を出発すべきではなかったと思う。(金田正樹 記)」

縦走日程を強行した遠因に 民宿の予約 帰路の切符の手配 などあるとしたら エスケープ下山の可能性などにたいして フレキシブルな対応ができるよう 旅程変更が可能な計画が 今後は必要になるのだろう。

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■7 登山のDNA

シンポジウムのなかで

「ツアー トレッキング会社のなかで 元々 山屋が起業し 社員も 山屋のDNAを きちんと 引き継いでいる ツアー トレッキング会社は 僅か数社。」という発言があった。

今日 ツアー会社 トレッキング会社 をはじめ 山岳会 同好会 NPO組織など引率型登山を実施するのであれば   すべて 登山のDNAを引き継ぐ 立場で 判断すれば 良いのだが、リスクのある コースを 、「旅行会社」として たどろうとするところに 基本的な 問題が潜んでくるのだろう。

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「そもそも旅行業界の中で、元々専門家である登山家たちが起業して成り立ち、経験の深い登山家たちが実務を行なっている旅行会社は、わずか数社にすぎない。概ね百名山などの付加価値に着目して商品化し、あるいは他社が成功していることに追従して企画・募集している旅行会社がほとんどである。
 つまり、ツアー登山業界は、旅行業のレベルで考えて「登山」を安易に商品化していないだろうか。体制的には整っているように見えるが、それはビジネスとして成立しているだけで、登山活動の着実な実施と安全性の確保という観点から検証すると、実力不足を感じさせる会社がほとんどではないだろうか。経営者や企画者、登山ガイドが一体となって、ツアー登山に対するレベルアップに努めるべきであろう。
 登山が、専門的な登山家や登山者だけの遊びではなく、ツアー登山という形で敷居を下げ、自然を愛する人々に広く親しまれ、定着していくことは大変喜ばしいことではあるが、そこに潜むリスクをいかに回避していくかについては、ツアー会社の責任も、ガイド同様に重い。」
トムラウシ山遭難事故調査報告書(最終報告書)
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日本山岳サーチアンドレスキュー研究機構
「トムラウシ遭難事故を考える」シンポジウムの当日の資料集(上の写真)が下記URLにて配布されています。(PDFファイルにてダウンロードできます。)

http://www.imsar-j.org/2009-04-23-09-38-06/2009-04-23-10-26-43/97-2010-03-04-08-13-46.html

社団法人 日本山岳ガイド協会 トムラウシ山遭難事故調査特別委員会による
トムラウシ山遭難事故調査報告書(最終報告書)
http://www.jfmga.com/pdf/tomuraushiyamareport.pdf
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山の遭難 あなたなら大丈夫

『山の遭難 あなたの山登りは大丈夫か』


羽根田 氏の言 のとおり 組織登山者含め 引率型登山が主流になり、自主的な 自立型登山をする人が だんだん減っている。

業界に 踊らされ 流行に 左右されることなく 自立した 山歩き を目指したい。

これからも 「自分の山」を じっくり登っていきたい。

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『山の遭難 あなたの山登りは大丈夫か』
羽根田 治 著 2010年1月15日初版 平凡社

『新聞やテレビなどで報道される遭難事故のニュースを見て、われわれは「自分も気をつけなきゃ」と思う。
だが、他人の事故を「我が身にも起こりえること」として切実にとらえられる人が、いったいどれぐらいいるのだろうか。』

『今 遭難事故が年々増え続けているいちばんの要因は、多くの登山者が「山は危険な場所だ」という認識を持っていないことにあるとあると思う』

『これほど 遭難事故が増えてしまったのは、業界全体の責任でもある。中高年の登山ブームが始まったとき、業界は「山は楽しいところだ」「登山は健康にいい」というイメージだけを全面に押し出そうとし、山の危険を説くことには決して熱心ではなかった(私 {著者 羽根田氏}もその片棒を担いでいたひとりである)。むしろ 見て見ぬふりをしていたといってもいい。そのツケが、今、回ってきているのである。』


『いずれ山は、ツアー登山やガイド登山などの、"連れられ登山"の一行に席巻されるようになってしまうのだろうか。自発的に個人で山に登っている登山者は、今後ますます少なくなっていく気がする。』

『山の遭難 あなたの山登りは大丈夫か』
羽根田 治 著 2010年1月15日初版 平凡社


ツアー登山2009 

最近の山歩きの傾向

 ツアー登山
 
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トムラウシの遭難事故を考える シンポジウム
その1 
その2


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2010年3月13日 第1版制作

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