2015年3月アーカイブ


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ヒトココ(ヤマモリ) 試運転


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ヒトココ 試運転
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■ヒトココ (ヤマモリ) 実際に 試運転してみての感想。

ヒトココ (ヤマモリ) カタログデータは

 わずか20グラムの子機 待ち受けモード電池持続 3ヶ月間。
70グラム親機は 待ち受けモード電池持続 6ヶ月間。

電池 持続時間が長いのは スイッチオンでは スタンバイ (待ち受けモード)になるだけ。

感度良く 操作性 探査能力 抜群と、ちまた では いい評判だが

本来の探査でどのぐらいの威力があるか

試してみた。

■開けた 平場 地面に子機を置いて 四方 から順に 親機で探索

大体 表示距離 100mから 出発し 表示に従って 立ち止まりながら
徐々に 近づいていく。

近くになって 近距離モードに入り
表示距離 2mぐらいで 終了とした。

雪崩埋没などでは 457kHzの常時発信の雪崩ビーコンのほうが雪崩捜索には向いていて ピンポイントしやすいらしいが、まだ 実際に比べてみての 埋没 実験を自ら していないので 何とも言えないが。。。

ヒトココ親機の 「表示距離」は 以下のように あくまで目安なので あまり信用にならない 一応の「目安の距離」である。

近くに来ると 広域モードから 近距離モードに変わるが  これも 電波強度を元にしての 「表示距離10m」くらいのことで 実際の距離ではない。

■親機の表示で 距離・方位は 一応の 目安でしかない。

あくまで 距離は 目安。
方位も目安。

ただし受信する 電波強度だけは 確かな数字。

この電波強度の 表示だけが 確かなので、要は 電波強度の強い方へ 強い方へと 進んでいくと 子機に 到達するというだけのこと。


■人間の体は水分なので 電波が減衰されるとのことなので

水をいれた バケツ水深30cm位 を 地面の上に置いた ヒトココ(ヤマモリ)の上にのせた場合も 試してみた。


バケツの下にヒトココを置いた

■結果

バケツをのせて 探索すると 同じ「表示距離100m」でも

のせない 場合の 「表示距離100m」に比べると

ざっくり 半分 位の距離 になってしまった。

ただ 探知後の 近づき方などは バケツなしと同じ。

距離表示は あまりあてにならないとは その通りの結果だった。

あくまで 電波強度表示の方が 信用できる。

電波の反射波を 拾い あっちこっち 千鳥足で進むのは 仕方がないが
何歩か歩いて しばし 立ち止まって 安定させながら 進んだ。

どのようにすれば 反射波から 逃れるのかは 微妙なところがありそう。
これは今後 練習が必要か

950MHzの電波伝搬特性を考慮した 効率的な 探索の動きかたは どうなんだろうか 今後使いこなすとわかってくるかも?


赤色が 地面に置いただけの場合
青色が その上に 水入りバケツを置いた 場合
どれも 探索距離表示 約100mから 出発

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ヒトココには 2種類
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■ややこしいことに ヒトココには 2種類あって

 ヤマモリは (1)のヒトココ 標準用と同じ
見守り 画面が 違う。値段も違う。

(1) ヒトココ 標準用 (山岳用) (ヤマモリと同じ)

(2)ヒトココ 見守り用 (介護用)徘徊老人 子供 幼児 用

■ストラップは 上の方の 両隅に ストラップホールがある。

この件 説明書には 記載なし。

説明書で記載している 持ち方は 電波受信部 (上部)を手で覆わないとあるが
このストラップの位置は 推奨している 持ち方と 矛盾するのでは?と疑問あり。


■ファームウェアの アップデートなどは ユーザー側では 書き換えできない。
ガーミン社製の GPSなどは この アップデートのサービスが 本当にありがたいのだが。。。

■スイッチオン・オフの操作

 子機 親機 ともにスイッチオンの操作がしにくい。
スイッチが小さく 鉛筆 ペン先などで 操作しないといけない。

これは 「簡単には 切れにくくして」 誤動作で 簡単に 「スイッチオフ」できないようにするためとのこと。

「切れにくくする」ために 簡単に 「スイッチオンがしにくい」結果になった。

 山中など 慌ただしい出発時などに 電源投入の細かい操作は しにくい。

これは、連続待ち受け 動作時間が長いので 家であらかじめ 電源投入してから出かけることを 想定している とのこと。

まま ワンタッチ操作で 簡単に つなぐより しっかり スイッチオンして
なかなか 簡単には 切れないほうが 本来の目的からすれば いいのかもしれない。

■ 防水性能は 一応あるが スイッチ USB接続端子 部のゴムカバーが少し不安な感じ。

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ヒトココの「携帯方法」
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■人間が山中で 倒れたとき

天を仰いで背中を下にして倒れるか 
下向きで 背中を上にして倒れるか

二通りのケースを考えると

人間の体で 電波減衰してしまうことを考慮すると

胸側 背中側の 2箇所に しかも 高い位置に つけることが 正解。

道迷いシンポジウムで発言された
川嶋高志さま (勤労者山岳連盟)によれば

「 子機を ザックに つけて、 もし ヘルメットを被るのなら ヘルメットの中に子機をいれ、 本体を胸につけるなど できるだけ 高い位置で 保持したほがいい。」とか

仰向けに倒れた時
うつ伏せに倒れた時
どちらにも 対応できるように しておくことが 必要。

中間的な位置として 横向き になった場合 は 胸 背面 両方が生きる場合も出てくる。

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IDを管理する組織
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■ヒトココは 持っていても
ただそれだけではダメで

機器の固有IDを 捜索側に 告知しなくてはならない

このために 必要なのは IDを管理する 組織。

機器の発売元の オーセンティックジャパン株式会社に問い合わせると

jroに何台 某山岳団体に何台とか まとめて 引渡すので 個々の機器のIDの管理はオーセンティックジャパン側では 出来ないとのことであった。

■幼児とか 徘徊老人を探すのなら ともかく

山岳遭難で活用するのなら

IDを管理する組織が ヒトココ(ヤマモリ)機器を活かすかどうかの鍵になりそうだ。

■ jroで 「ヤマモリ」として ヒトココの活用

万が一。山中で 突発事故にあって 山中で倒れたとする。

他の登山者などに 見つけられればいいが
そうでない場合。
捜索は 長期化しやすい。

■山と渓谷2015年4月号では 最近の積雪期遭難

雪崩遭難などで 長期捜索が行われた 一覧表がでていた。

雪崩ビーコン無しが多く 長期化したのだが
行動中でなく テントなどで就寝中 襲われるケースもあるので
常時スタンバイの「ヤマモリ」は 行方不明捜索に 抜群の 効果があるのではないだろうか。

■IDを管理する組織が必要

日山協 労山など 各 山岳団体 などでも IDを管理するので ヒトココを活用できる。

気ままな 単独行が多い 私など IDを管理する組織として jro(日本山岳救助機構合同会社)に加入して 万が一に 遭難事故にそなえ 「ヤマモリ」として ヒトココを「お守り」として 今後は 常時携帯し、安全登山に心がけていきます。


ヤマモリ(ヒトココ)、 万が一の場合に 備える。
http://blog.goo.ne.jp/shumiyama/e/cb234e0e2309b6bc62ee63f974bddfaa

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ヒトココ(ヤマモリ)に関するリンク
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  • AUTHENTIC JAPAN株式会社
    http://www.authjapan.com/

  • jro
    http://www.sangakujro.com/yamamori/info.html

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  • ヒトココ 山岳遭難対策
    http://youtu.be/jdxnw8btsIk

  • ヒトココ 災害対策
    http://youtu.be/bFC7M8pZQFc

  • ヒトココ・HITOCOCO探索1_広い公園
    http://youtu.be/TNzOLdyRIVQ

  • ヒトココ・HITOCOCO探索2_夜の住宅地
    http://youtu.be/O1V6xvFbU94

  • ヒトココ・HITOCOCO探索3 捜索
    http://youtu.be/vYD9Aa4wx7Y

  • HITOCOCO ヒトココ 山間部捜索実験
    http://youtu.be/jd7Hqpadjvo

  • ヒトココ FBSニュース認知症特集
    http://youtu.be/CTZ2EoSLDzA

  • HITOCOCO ヒトココ FBS 「夢無限大」
    http://youtu.be/6cyJKiZkf6o

  • ヒトココ マルチコプター 上空からの捜索
    http://youtu.be/jXjk-vrGjsU

  • 出川あずさ雪崩ネットワークニュース番組 HITOCOCO ヒトココ 紹介
    http://youtu.be/X6SMXvkcchE

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  • ヤマモリ(ヒトココ)、 万が一の場合に 備える。
    http://blog.goo.ne.jp/shumiyama/e/cb234e0e2309b6bc62ee63f974bddfaa

  • ヒトココ(ヤマモリ) 試運転
    http://blog.goo.ne.jp/shumiyama/e/313707a0ea8b32a5b25c2a57f503383a

  • 「登山者等の位置検知システム」について研究されている富山県立大学の岡田教授の講演。
    http://blog.goo.ne.jp/shumiyama/e/dd5b3ff8e3ce3b9effb32e17cdda0aaf

  • 「道迷い」シンポジウム2015年3月14日 関西大学 高槻キャンパス
    http://blog.goo.ne.jp/shumiyama/e/73fb84a106cd10b631c4cb52e37f5298

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  • 千葉県労山岳連盟救助隊 2013年度 関東ブロック救助隊交流集会/雪山搬出訓練 レポート

  • http://chibayama.sakura.ne.jp/doc/140223_kanpuroreport.pdf
    http://www.cwaf.jp/wp/wp-content/uploads/chiba_news_2014-03.pdf

  • 埼玉労山 小型探索端末『ヒトココ』を使用した訓練模様と今後の展望について

  • http://saitamarosan.com/iinkai/kyujyo/2014/HITOKOKOYE.pdf

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    ヤマモリYAMA MORI (電子捜索機器)の使い方
    http://youtu.be/0hloykUPd3o

    マルチコプターに載せて要救助者を捜索する実証実験
    http://youtu.be/QqmgSKRpwZ0

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    ヤマモリ(ヒトココ)、 万が一の場合に 備える。

    山中では 全く 予想もしないことが 突然おこるなど、まったく 何が起こるか 本当にわからないものだ。

    私のように 単独行で 気ままな山行を行っていると とかく 山中で行方不明 の危険性は常に つきまとっている。

    これは 常々 特に 気になっていたところだったが、こうしたなかで 2014年の御嶽山の大災害が おこった。

    2014年秋 御嶽山で火山噴火で登山多数行方不明。捜索難航。いまだ不明者あり。

    また 2015年1月 長野県で スキー駐車場に車が残置されているものの 登山者の ゆくえがわからないという 行く先 不明の遭難事案があり、いまだ行方不明。

    そして 2015年2月には 富山県立大学 岡田教授の 登山用ビーコン150MHzの実証実験の話を聞くチャンスがあり、山中で 行方のわからない 登山者を見つけやすくし 捜索活動の手助けになる ビーコンの重要性を 再認識した。

    が 富山県立大学 岡田教授は ヤマタンにかわる 登山用ビーコン150MHzの開発 実証実験をおこなっている最中で 電波法令の改定など まだ 製品化まで もうチョットの 時間がかかりそうだ。

    さきの 2015年3月14日の 「道迷い」シンポジウムでは
    前々から 注目していた ヤマモリ(ヒトココ) オーセンティックジャパン株式会社の話もきいた。

    そのとき 川嶋高志さま (勤労者山岳連盟)から

    「---- 100台購入し 講習会では わずか20グラムなので名札代わりに 受講生に持たせて 受講生の位置を把握できるようにしている---」

    とかいう話もあり やはり ビーコンの重要性と 活躍ぶりを感じた次第だった。

    「いま ここにいるぞ」 と 現在位置を知らせる ビーコン。

    とりあへず 今回 試しに ヒトココを購入 使ってみることにした。

    問題は ヒトココIDの管理の問題。

    個人で機器を持っていても ヒトココIDをどのように 保存して いざというときに捜索側に知らせて ヒトココIDを 捜索に役立させるか など考えると やはり ヒトココIDを管理してくれる 山岳救助保険のjro(日本山岳救助機構合同会社)の存在は ありがたいものだ。

    個人レベルで 機器を持つだけでは IDがわからず 全く 持ち腐れになってしまう。

    jro(日本山岳救助機構合同会社)にも 加入し「ヤマモリ」として 今後 山中に ヒトココを 持ち歩くことにした。

    ヒトココの持ち方について 川嶋高志さま (勤労者山岳連盟)によれば

    「 子機を ザックに つけて、 もし ヘルメットを被るのなら ヘルメットの中に子機をいれ、 本体を胸につけるなど できるだけ 高い位置で 保持したほがいい。」とか

    仰向けに倒れた時
    うつ伏せに倒れた時
    どちらにも 対応できるように しておくことが 必要とか。

    行方不明遭難を防止するには
    万が一の場合に 備えて 「ヤマモリ」を 常時携帯し 安全登山に心がけたい。

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    「道迷い」シンポのあと 『山岳読図大全』を読み直してみた

    2015年3月14日 シンポジューム 関西大学(高槻市)
    「道迷い」シンポジュームでは いろいろな議論があった。

     読図 磁石 登山道 環境整備 レスキューなど 活発に議論された。

    道迷い時の行動パターンについてのアカデミックな研究も有ったり、山岳団体でどう取り組んでいるのかなどの話もあったり 多方面な話題は 大変興味ふかいものがあった。

    また 登る山域によって、また 低山 里山 高山 それぞれ違った「道迷い」が発生するので 山域の状況に応じた対策が必要になってくる。

    大都市圏周辺の山域と 閑散な四国山地は 山域の条件が はっきり違う。

    四国山地でも ごく一部の 著名山のメインコース以外は 大都市圏「道迷い」対策とは違った 四国山地の対策が必要になると思う。

    当日 あまり 話題に出なかったことなど 「四国山地むけ」の「道迷い」を 整理しながら、シンポジウムで司会された村越さんの著書。

     『山岳読図大全』村越 真 著 2011年 山と溪谷社を 改めて 読みなおしてみた。

    村越さんの いくつも発言 「ニュージーランドの 標識」など この本をひもといて 改めて 納得。

    読図だけでなく 登山の総合力を 高めていく事が大事だと感じた。

    以下 「道迷い」 について いつも思うことなど、大都市圏の山域とは違った 四国の狭い 山域での 「道迷い」私見である。

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    1 歩いたところが道になる
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    ■もともと 歩いたところが道になるぐらいの 気持ちをもって 未整備な山域を主体に 山歩きしていれば 「道迷い」 などは いくらでもあること。

    地図・磁石あっても いつも半信半疑で まわりの状況に つねに野性的な触感を働かせ ルートの保持に 十分に注意しながら 進んで行けば、ほんのチョットした異変にも すぐ気づき たちまち 冷静に対応して 軌道修正しながら すすんでいくことができる。

    ■はやく気づき 冷静に対応していけば 決して 「大迷い」に陥ることもない。

    小さな迷いは 「迷わぬものに悟りなし」のことわざのとおりで よくあることで まったく 問題なく、すぐ復帰できる。

    もっとも 冬場 天候が 極端に悪い 低視程のホワイトアウト時は やっぱり苦労するのだが。。。。

    ■ともかく 「道迷い」対策の ポイントは いかに はやく 「気づき」 「いかに 冷静に 対応できるか」だと思う。

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    2 気づき
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    ■どうも 「ちがう方向」に進んでいるな、どうもおかしいな、とか、とうとう 道に迷っているのでは?

    いつ どの段階で「道迷い」に はじめて 気づくことができるか?

    「道迷い」の気づきは はやければ はやい段階ほど 修正は簡単。

    「道迷い」に気づかぬまま 深みにはまっていけば、傷口は どんどん深くなる。

    ■「道迷い」に まったく 気がつかぬまま とうとう 崖の縁にきて 立ち往生してしまって、はじめて 「道迷い」に気がつく という場合などは
    往々にして心理的なパニックに陥る。

    はたして 「道迷い」の どの段階で 気がつくことができるか?

    ■できるだけ はやく気づく ようになるには 「つねに疑いを持って」 「謙虚な気持ち」で 落ち着いて つねに 周りの状況に注意しながら 進んでいかなくてはいけない。

    風向き 沢音 雲 自然物などを 静かに 観察できる 幅広い 精神的な心の安定さが 落ち着きの 前提になる。

    常に 落ち着いていれば 何事にも 疑いつつ すべてに 対応しながら より多くのものが見えてきて 気づきもはやい。

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    3 パニック
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    落ち着きの心の安定とは正反対が パニック。

    ■「道迷い」に気がつかぬまま 突然 崖の縁などにきて パニック。

    「道迷い」は 心理的に あせりから パニックなどに陥りやすい。

    動悸が はやくなり 視野が狭窄し、思考能力が低下する。

    ■「道迷い」は 登山者から 冷静な判断能力を たちまち奪いとってしまうのだ。

    「道迷い」は 瞬時に 登山者をパニックにし 心理的に 絶望的な状況に陥らせ 冷静な判断力を失わせる。

    ■こうしたとき 「道迷い」から抜け出すには はじめに 十分 気を落ち着かせることが必要だ。

    ■精神的に安定すべく 腰を据えて まわりの状況をじっくり 観察把握してみて、 ここまで 辿ってきたルートなどを 思い起こしながら、 現在地の把握など 手がかりをつかんでいくなど さまざまな手立てを手順をよく いかに 冷静に対応できるかにかっている。

    ■迷って パニックってからだと 地図を見ても 現在地などは すぐには 判断できないだろう。

    が、気を落ちつかすことで いろいろな 手立てが 浮かんでくる。

    風 音 触感など 五感が 効いてくれば いろいろなことが見えてくる。

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    4 「道迷い」は95パーセントが無事救出
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    ■「道迷い」は山岳遭難統計のうち 4割占めているが、

    「道迷い」の 95パーセントは 無事救出という。

    ■「道迷い」が一次的要因なのに 二次的に 転倒滑落墜落などに 発展していくことも多い。

    ■また「道迷い」中の 悪天候のもとでは 急速に体温が奪われて 低体温症に 陥ってしまったりする危険もある。

    ■もし低体温症に ならないよう注意していれば、じっくり落ち着いて 冷静に判断して、足元に気をつけて 転落滑落に注意すれば、そう危険なことはなく 95パーセントが無事救出される はずだ。

    ■携帯電話などが つながって 110番・119番で 通報できるかという点はあるが 携帯通話可能圏内なら 95パーセントが無事救出できるのである。

    (携帯電話での 救助要請の通報は必ず 110番・119番を使用する GPS情報が えられやすい)

    ■ともかく「道迷い」から パニックって 動きまわり 滑落・転倒・転落につながることだけは 避けたい。

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    5 頭を冷やすな 低体温症に注意
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    ■世間では 「頭を冷やせ」とか よくいわれるが

    山の中では 春秋冬など 寒い時期 など 体を冷やすのもよくないが、頭を冷やすのもよくない。

    ■というのも 頭を ぐんと冷やすと 脳の思考能力が低下することにつながるからだ。

    「頭を冷やすと」たちまち 思考停止。

    ■実際 過去の「道迷い」遭難者のとった問題行動のうち いくつかは 低体温症から 脳の思考能力低下に起因していると 推測されるらしい点が多々ある。

    ■冷静な 脳の判断能力を維持するために 山中では低体温症にならないのは勿論のこと さらに「頭を冷やすな」が大事。

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    6 パニックに陥らず 冷静な判断能力維持すれば かなりの割合で解決する
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    ■日本の「道迷い遭難」の無事生還率 95パーセントということは
    下手に 携帯電話など通報手段が発達し 手軽な救助要請が増えてきている証拠なのかもしれない。

    ■従来の組織化された山岳団体に属する登山者(通称 「組織登山者」)は平均的に 道迷い遭難の比率が少ないという ことは
    登山総合力、読図スキルなどの向上で 「道迷い」が 少なくなることを 明確に 示している。

    ■山は自己責任という基本にたって、 普段から 登山総合力とか 読図スキルを磨き 、あくまで 自力で冷静な判断ができて、つねに冷静さを維持できるようにすれば、 「道迷い」もせず 、安易に 救助要請することもなく、 より 安全な登山が楽しめるのではないだろうか。

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    「道迷い」シンポジウム
    2015年3月14日 関西大学 高槻キャンパス

    山岳遭難事故の4割を占める「道迷い」遭難。

    警察 消防などが把握する 「道迷い」だけでなく、自力下山し 通報 報告のない 「道間違い」、「下山遅延」など 含めると なにかしら 道を誤り 道に迷うのは かなり あるのではと 想像します。

    この「道迷い」を いったい どの ようにすれば 減らしていけるのか。

    従来の「道迷い」に関する 常識には 本当に誤りは ないのか ここで改めて検証するなどして、 様々な角度から 総合的に どう取り組んでいくべきなのか 考えていこう というのが 今回のシンポジウムの趣旨。

    今回の「道迷い」シンポジウムは 大きな会場に 遠路 各地から 多く 参加者を集めて開かれ 普段から 道迷いを研究されている研究者のかたや、日頃 遭難対策に、ご尽力されている、登山団体の方々、 定期雑誌の道迷い関係の著作者や 登山界 各分野で みなさま ご活躍されている 方々が 様々な 角度から ご登壇なされ 積極的に ご発言 ディスカッションが盛り上がるなど しました。

    今回の シンポジウムは たいへん充実した 有意義なもので とても勉強になり おおくの示唆を与えてくれました。

    シンポジウムを開催運営にあたられ 登壇なされました皆様 本当に ありがとうございました。

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    西内 博さま (日本山岳協会 遭難対策委員長)
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    「道迷い」は 山岳事故統計でも原因トップだが 登山界では 遭難対策の対象として 本格的に とりあげることは いままで なかった。

    それは 道迷いは 多様な内容を含み 自力で降りてくればそれでよし 道迷いは恥ずかしいこと 道迷いは大したことない とかいって なかなか本格的対策として とりあげ にくかった。

    新聞のコメントなどでも 単純に「言語道断」とかいって 片付けてしまってきた。

    そうしたなかで 道迷い遭難対策の 総合的なシンポジウムとして 今回こうして シンポジウムを開催することができた。

    今回は 分析 事例 対策 などの一連のストリーがまだ出来上がっていない 状態なので 今後 いろいろな 諸問題を さらに掘り下げていき、「減遭難」のという 目的地に向かっての 本日のシンポを 最初の一歩として いきたい。

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    青山 千影さま (関西大)
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    世界的にみて 日本の特徴は 高齢化 道迷いが突出

    諸外国を見れば
    事故のなかで道迷いが10パーセントなのに
    日本では事故原因の約半分が 「道迷い」 突出している。

    「道迷い」 対処法として

    従来ややもすると 経験論が幅を利かし
    迷ったら こうせよ あーせよ とかあるが

     従来のベテランの経験論が本当に妥当なのか

    そうした経験論が正しいのか検証してみる必要がある。

    十分に検証 議論し 事故原因対策を 考えていきたい

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    川嶋高志さま (勤労者山岳連盟)
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    2004年~2014年の11年間で
    勤労者山岳連盟 傘下では 計3355名の事故報告。

    そのうち 「道迷い」が主原因 51名。

    「道迷い」に起因があり その後 転落・転倒などに至ったと 判断されるものまで含めると 61名 2パーセントの報告。

    組織登山者だけに 読図講習 訓練 しっかりした装備 等などによって「道迷い」自体の割合は 少ない。
    が 道迷いで死亡 行方不明 6名 (女性5名 男性1名)発生している。

    組織登山者だから 道に迷わないということではなく、レベルが上っていけば、 雪山 沢 薮 岩などに はいって、当然 危険が ふえてくる。

    山岳会に入っているからといって 「自分は できる」と山を甘く見てはいけない。

    以下 川嶋氏の個人的見解として

    日本の山は 地形 植生 気象 変化にとんでいて複雑。

    登山道・指導標・目印など 種類多く 統一されていなく、知識 技術 経験 体力 装備など 必要である。

    組織登山者だから 道迷いしないと いうことでない。

    レベルがあがっていけば 当然 雪山 沢 などでは 道迷いの危険は増えてくる。 

    安全登山に必要なのは 

    【想像力】
    これから起きる 出来事、変化する 状況を常に予測する想像力

    【応用力】
    起きた出来事、変化した状況に的確に対応する応用力

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    村越 真さま (静岡大学)
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    「変わる 道迷い 遭難統計の分析」

    ■中高年 道迷い遭難が 増えているというが 本当なのか?

    警察庁発表の数字の元になる 元資料を直接集めてみて 詳細に分析してみた。

    山岳遭難統計の中には 登山 山菜採り 山岳信仰なども含まれる。

    ■年代別には

    男性 若い年代では 道迷いが多い
    女性でも 若い年代に 道迷いが多い

    高齢者 転倒が多い

    ■高山より 里山で 道迷いが多い

    夏は高山で 転倒が多く
    春秋 里山で道迷いが多い

    高山では 転倒が多い

    ■時間帯 午後が多い

    ■態様

    道迷いは無傷 無事救出(95パーセント)となる場合が多い


    ■若年層にも

    いろいろな要因があるあるの

    中高年だけでなく

    道迷いが 若年層にも広がってきている。

    夏以外 低山で発生数が多い

    多様な要因 多様な態様

    全体 損害は少ないが 多様な ダメージ 滑落 転倒 転落 行方不明 につながる こともある 

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    野村 仁 さま 山岳ライター(日本山岳文化学会)
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    ■山岳遭難統計の 転落 転倒 疲労 など のなかにも 「道迷い」が 遭難の きっかけになっている場合がある。

    ■長野県 高山型 転落・滑落 転倒 病気 疲労
      代表的な山 代表的なコースなど 整備された道をいくので
     道迷いは そんなにおおくない
     
    ■兵庫県 たとえば六甲山 道迷いが多い

    ■首都圏 日帰り圏 奥多摩 奥武蔵 中央線沿線 など 低山で 散発的に多発している。

    2013年 新聞などでは 丹沢 道迷い遭難 に 一件もなくても 直接あたって 調べてみると 21-22件もあるなど 道迷い遭難を 1つずつ プロットし 直接 分析した。

    ■2013-2009年 5年間の 丹沢山系で道迷いを 1つずつ プロットし 分析して 丹沢道迷い遭難の全貌がみえてくた。

    ■参考図書
    『もう道に迷わない』野村 仁 著 2015年3月5日初版 ヤマケイ新書 山と溪谷社

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    第二部 
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    道迷い遭難者による報告
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    ■遭難事例

    「道迷い遭難」なのか 事故なのか、単なる「道間違い」であるのか さらには 自力下山で 「下山遅延」なのか それぞれ微妙な ところもあるのだが 実際に 道迷いを体験された 当事者が 道迷い 道間違い にいたった 要因なども 詳細に分析報告されていた。

    ■山行中の問題行動も 多くあるが それらの下地になる いろいろな要素を分析。

    ■問題の背景的な要因 

    山行準備計画段階での 準備不足 装備不備などとか 的確な天候の把握不足など 山行へ出発した 時点で すでに 遭難にいたる問題をかかえたまま 山中に はいってしまった。

    ■山中での変化、変化への対応

    問題を背負っていいる上に 所与の条件が変化して 山中で 思いがけない所要時間の消費 体力消耗 視界不良・天候悪化など になってしまった。

    ■問題行動

    問題行動の起こる きっかけは 何か?

    その時の対応がどうだったのか。

    不適切な対応が 連続し それが 更に 深みに入ってしまうことにつながった。

    ■山中で 当初の計画から 与えられた 条件の変化に どうして 上手く 対応できなかったのか。

    ■遭難事例 とその分析

    青山教授の遭難事例の分析では 遭難者からの 聞き取りが しっかりしていて 見事にルートを再現し 分析していた。

    一つ一つの事例で その迷い箇所など さらに背景的要因含め 詳細な分析を 緻密に きちんと取り組んでいくのは とても 気の遠くなる 地道な過程を踏まえなければならず 道迷い分析も 根気のいる迷路を解き明かす ジグゾーパズルの謎解きのようだ。

    が こうした地道な取り組みが 遭難対策の重要な ポイントとなり、更に踏み込んで 精神的に なにか 焦りとか 心理的な深層のところが解明されていきたいところだ。

    ■3つの道迷い事例発表

    事例 (1) I山系 
    事例 (2) H山系 
    事例 (3) S山系 


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    第三部

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    関連要因から見た道迷い発生のメカニズム
    --------------------------

    ■道迷いリスク対応能力試験 青山千影さま(関西大学)

    空間認知能力 読図力の測定

    ■登山者の読図・ナヴィゲーションスキルの実態 村越 真さま (静岡大学)

    読図得点は低いが自己評価の高い登山者は要注意

    ■道迷い登山者の行動分析調査方法の開発と行動特性 青山千影さま(関西大学)

    ヤブの中に少し入っただけで 復帰が難しくなる その時の 行動特性。

    -------------------------------------------------------------------------------------

    第四部
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    対策(救助法、減遭難活動、ナビゲーション指導法)
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    ■地図読み講習主催 松尾健一さま(Links.NATURE)

    地図読みの講習会を実践形式で実施してきた。計15回 155名参加。

    初級レベルがほとんど さらに反復練習のため
    講習会 練習会を 定期的に 開催して
    常設オリエンテーリングを紹介し
    大会の案内を行っている。

    こうした 活動を地道に続けることが大切。

    ■那須山岳救助隊の道迷い遭難防止への取り組み 日山協 西内 博さま 遭難対策委員長

    ロープウェイ
    入山者の多さ 
    登山道の整備
    標識の整備 位置情報番号
    登山届
    強風
    登山カードポスト設置
    山岳パトロール

    ■鈴鹿山系での事例、捜索の流れ、APRS網の整備と活用  三重岳連

    APRS (Automatic Packet Reporting System)
    アマチュア無線とGPS位置情報を活用。グーグルマップ上で位置情報公開。

    ■山のお守り=ヒトココ(ヤマモリ) オーセンティックジャパン株式会社

    川嶋高志さま (勤労者山岳連盟)
    「労山では 100台購入し 講習会では わずか20グラムなので名札代わりに 受講生に持たせて 受講生の位置情報を把握できるようにするなど すでに活用している。
     子機を ザックに つけて、 もし ヘルメットを被るのなら ヘルメットの中に子機をいれ、 本体を胸につけるなど できるだけ 高い位置で 保持したほがいい。」

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    最後に 討論など

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    登壇者 はじめ フロアから 議論すべき点として 多くの論議があがり
    所定の時間 めいっぱいまで 活発なディスカッションがあった。

    以下 話題に あがった点

    ■登山道の環境整備 どこまで すべきか?

    ■やはり 基本的 には 登山道の環境整備は ちゃんとすべきだ

    ■行政機関では 登山道など 下手に整備すれば あらぬ責任をとらされたり 訴訟等のリスクを背負ったり あまり手をつけたくないのが本音。

    ■登山技術が必要なルートは 登山者のみとすべきだが
    一般登山者が入れるところは それなりに 登山道の環境整備をすべきだ

    ■長野県で登山道 グレーディングを行っている。
    登山道整備も 登山者の技量 登山道のグレードに応じた 整備をすべきだ。

    ■地図の読み方だけでは 道迷いをふせぐことはできない
    一般登山者が 地図をイメージ化するのを手助けする方策を考えるべき

    ■地図をイメージ化する パンフレット 写真などを活用。

    ■一般登山者が 登る「登山道」と 雪山 沢 薮など 本来「道」のないところを通る「登山」とは 明確に峻別しなくてはいけないのでは?

    その場合 一般登山者対応の「一般登山道」は 環境整備すべきだ。

    ■ニュージーランドでは難易度の高い「登山道」には「ここからさきは登山に適した装備とスキルが必要であり、読図とルートファインディングが必要である」との標識がある。

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    シンポ 村越 さま まとめ

    村越 真さま (静岡大学)
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    これからの課題

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    ■自助 
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    自分で 何をするか
    ナヴィゲーションのスキルを身につけるだけでなく
    山の総合力 リスクの認識をきちんとする

    自分の力を知る

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    ■共助
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    学習機会の提供 
    組織 団体
    捜索 救助

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    ■公助
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    地方自治体 国の役割
    環境整備 情報の提供 研究

    救助方法の検討
    責任 義務 の問題 登山者と コンセンサス必要
    全部 環境整備すると 登山の楽しみをなくしてしまう

    ここまでは 環境を整備し ここからは ご自身の 判断で 自己責任

    ニュージーランドの看板

    ■ニュージーランドでは難易度の高い「登山道」には「ここからさきは登山に適した装備とスキルが必要であり、読図とルートファインディングが必要である」との標識がある。

    ----------------------------------------------------
    「道迷い」を研究するための ふたつの アプローチ
    ----------------------------------------------------


    --------------------------
    ■疫学的アプローチ
    --------------------------

    統計分析
    全体の把握
    関連する要因の検討

    --------------------------
    ■臨床学的アプローチ
    --------------------------

    プロセスの理解
    対応能力の課題


    1-IMG_0755.JPG


    ■2014年 石鎚山系の山で  レスキュー隊員が救助中 死亡する事故があった

    ■『空飛ぶ山岳救助隊―ヘリ・レスキューに命を懸ける男』羽根田 治 著 山と溪谷社 1998 の本もある ヘリコプター救助の第一人者だった 篠原秋彦さん 救助作業中 転落死亡 2002年。

    ■2009年 奥穂高 ジャンダルムで 岐阜県防災ヘリ 墜落。

    ■実際のヘリ救助の動画を見ると ヘリ救助が いかに大変で 難しいかよくわかる。

    簡単ではない ヘリ救助。

    携帯電話からの通報で 安易に ヘリ救助を求める 遭難者が増えているというが、以下の動画を見れば ヘリ救助が いかに大変危険な作業なのを再認識すると思う。

    登山者は、要救助者となって ヘリに ピックアップされることなどないよう くれぐれも安全登山に心がけ 無理のない計画で 慎重な行動をしたいものだ。

    ■山岳遭難での通報手段として

    いまでは山岳遭難の通報手段として 携帯電話からの通報が一番 多いのだが

    携帯電話についている GPS機能など 位置情報を 活かすには、遭難者「要救助者」が携帯電話で 直接 110番か 119番へ 電話するのが一番。

    第三者経由 たとえば 家族 山小屋 など経由依頼したのでは 携帯位置発信情報が 特定把握できない。

    ■出動指令を受けてから、ヘリが出動するまで

    【神戸市航空機動隊】
    https://youtu.be/wTEZmAl9-KM

    ■位置がわかっても 山中 ヘリ上空からの視認は難しい

    目立つような ストロボ とか派手な色彩 動きがないと 視認しにくい

    山岳救助で通報者からはヘリがすぐそこにいるとの情報、地上からはヘリが良く見えていても、ヘリからは全く見えないこともある。

    【神戸市航空機動隊】山中での上空からの視認の難しさ

    http://youtu.be/7Oz65xPAArs


    【神戸市航空機動隊】ヘリコプター出動現場映像

    http://youtu.be/kj8R0eSMCRw

    【神戸市航空機動隊】滑落からの道迷い

    登山中に30m程度滑落、そこらから自力で登山道を捜しましたが、道迷い
    今回はたまたま携帯電話が通じる場所であったため、早期に救出

    http://youtu.be/45LlaFIE4v4

    【神戸市航空機動隊】冬山での遭難

    http://youtu.be/puTv-Oagkj0

    【神戸市航空機動隊】クライミング中の滑落事故での救助活動 断崖絶壁

    http://youtu.be/FZ-xg-TfB_c

    【神戸市航空機動隊】レスキューストレッチャー取扱い説明
    http://www.youtube.com/watch?v=1t0TIKl116c

    【神戸市航空機動隊】レスキューストレッチャー

    http://youtu.be/Z7CndKE_cEg

    02-IMG_0650.JPG

    「登山者等の位置検知システム」について研究されている富山県立大学の岡田教授の講演。

    ---------------------------------
    ■ 携帯電話
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    昨今 多発する山岳遭難のなかで 遭難者(要救助者)から 「SOS通報」する通信手段で一番多く使われているのは 携帯電話。

    いまどきの 携帯電話にはGPS機能も付属しているのだが、 携帯電話の通話に使われている 電波の周波数帯(800MHz--2.1GHz)は 山岳地帯では伝搬性能が悪く 遠くまで つたわりにくい周波数なので 山岳地帯では携帯電話での通話は「圏外」表示が多くなる。

    山岳地帯で 遭難者が携帯電話を通じてSOS発信しようとしても 限られた場所でしか 通話できない。

    たとえ 運良く つながった携帯電話も 途切れ途切れで 不安定になりやすく、要救助者(遭難者)の携帯電話からの「 SOS 」通話も不安定で位置も特定できず せっかくのGPS機能も活かせないまま、実際の 遭難者の捜索には レスキュー関係者に 多大の労力と困難をしいることに つながってきている。

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    ■ ヤマタン
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    剱岳など 険しい山岳地帯が ひかえている富山県では 以前から 山岳遭難対策から「ヤマタン」という小電力電波を利用した探知システムを 雪山登山者などに貸与するなどして山岳遭難にそなえている。
    ただし、ヤマタンは 50MHz帯 の微弱電波で、遭難者からの送信を探知しても 送信位置の正確な特定が難しくて、なかなか位置情報として絞り込めない。

    このため  2012-2013年の小窓尾根遭難者捜索のさいも、電波はとらえても遭難者の絞り込んだ探索はできないヤマタンの限界に直面した。

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    ■ 電波で 登山者位置の把握
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    道迷い遭難防止や スピーディーな救助 のうえからも 正確な位置情報を いちはやく 遭難登山者や 救助する側に知らせ 遭難者の探索をもっと的確に ピンポイントで絞り込むビーコンの導入が 望まれている。

    近年、GPS機器がコインの大きさ ぐらいに超小型化、高精度化して ピンポイント位置情報 自体は いとも簡単にえられるようになってきた。

    が、問題は 携帯では「圏外」となる山岳地帯でも 安定的に 双方向可能な通信手段をどう確保するか。そのための通信機器と、その周波数帯は?

    圏外の山岳地帯でも 何キロも 安定的に 伝搬する 山岳地帯に向いた周波数帯の確保が システムのポイントになるが、国内の各種制約など、いろいろ難しい課題が多くて、通信手段として理想的な位置通報の通信端末が、なかなか登場しにくかった。

    457kHzの雪崩ビーコンは普及しているが 微弱電波なので 近くまで行かないと反応しないので やはり 雪崩対策専用だ。


    黄色が今回紹介する「登山者等の位置検知システム」

    こうしたなかで 富山県立大学の岡田教授は 登山者の位置検知システムの研究開発を 長年にわたり 精力的に行ってきた。 

    基礎実験をつみかさねて、研究開発して、試作機をつくり、実際に、山岳地などで、試験をくりかえして、改良に、改良を つみかさねてこられた。

    そして 昨年2014年12月4日には 石川県医王山周辺で 公開実証実験を行い、完成された探知機器の性能と実力を 公開で実証された。

    今回のシステムについて 富山県立大学の岡田教授が 2015年2月 わざわざ四国の地に足を運んでいただいて ご講演された。

    以下 富山県立大学の岡田教授 講演での 私的メモ

    ---------------------------------
    (1) 「 150MHz 」の周波数帯を使う
    ---------------------------------

     山岳地帯での伝搬性能 良好の 周波数帯として 150MHzの周波数帯を採用。

    北陸などの積雪の多いところでも 天候などの 影響を受けにくく かりに3m位 雪中に埋没しても しっかり 探査できる周波数帯として、いろいろ試してみて 150MHzが一番 よかった。

    150MHzは 多少山などに 遮蔽されても 障害物を 回折して伝わる 性能があり 山岳地では 伝搬性能がとても良い。


    端末の出力にもよるが
     
    (高出力にすれば 伝搬距離のびるが、電池消耗が激しくなり、大容量の電池が必要になり、携帯性落ちる)


    岡田様の 基礎研究によれば
    ------------------------------------
    コンクリート壁50cm 透過
    水没10mでも検知が可能
    降灰の厚さが50cm
    積雪下10m検知可能
    ------------------------------------
    など 150MHzは とてもいい伝搬性をもっている。 


    ---------------------------------
    (2) 登山者端末は120グラム
    ---------------------------------

    GPSを内蔵した 120グラムの端末は 個別IDを持っており 救助要請のSOSボタンを押せば 直ちに現在位置を個別IDとともに捜索端末や基地局に送信。

    捜索側が受信完了したとの確認を 遭難者側にフィードバックして 送信完了し 、「確かに捜索側が受信した」との確認の意味で 遭難した登山者端末に「捜索側受信完了済の赤ランプ」(状態通知LED)を点灯。

    「捜索側受信完了済の赤ランプ」(状態通知LED) があれば いわば安心ランプとなって、 遭難者がイライラと 送信が届いたどうかが 不安で 再度 再再度 再三再四 繰り返し ボタンを押す必要はなくなる。

    これは 遭難者に 安心感を与える すぐれものの システムだ。


    ---------------------------------
    (3) 捜索側端末
    ---------------------------------

    捜索側端末も携帯便利なように 登山者端末並みのコンパクトさで タブレット接続で位置表示も可能。
    捜索側端末では、遭難者の端末を遠隔リモート操作もできる。


    ---------------------------------
    (4) 中継リレー可能
    ---------------------------------

    山岳地帯では 中継リレー可能で たとえば山小屋などで次々に 遠方まで届くシステムだ。


    ---------------------------------
    (5) ヘリコプターから探索
    ---------------------------------

    ヘリコプターは 基本6km以上だが 富山空港の 上空に あがっただけで 直ちに へりは 12位km先までの遭難者からの電波を 受信可能となるほどの良好な電波伝搬、受信性能だ。

    遭難者発信の 電波は ヘリが雲中にいても 受信可能。

    ---------------------------------
    (6) 山中では つねにスタンバイモードで 電池消費は抑制
    ---------------------------------

    運用の 基本は山中では つねにスタンバイモードにしておくことで、電力消費は抑えられ、電池の継続時間は長く、電波占有は効率的になり 混信も避けられる。

    そして いざというときに遭難者が 手動で SOSをいれる 手動モード。

    もしくは 捜索側から 遠隔操作で遭難者の電源を本格的にいれて、GPS位置情報、端末ID など送信させることができる リモートモード。

    さらに GPS取得後 要救助者が 谷底 クレバスなどに転落した場合にたいしても、GPS衛星電波取得できない想定で 登山者の端末自体で電波発信させて 位置を探索できるモードもある。

    ---------------------------------
    (7) 登山者が意識不明の場合 リモートで操作
    ---------------------------------

    遭難しても 登山者に意識があって 自らの意思で手動操作して 要救助の要請を出す場合は問題ない。

    が、もし 登山者が不意の墜落や転落 雪崩にまきこまれたり などで 自ら 手動操作もできない状態に陥った時。

    低体温症や外傷などで、意識がなくなったりして 端末を手動では操作できない事態になってた場合。

    その場合でも対処できるよう リモートで操作できる探索モードもそなえている。

    捜索側端末から 遭難者端末を遠隔操作させて GPSデータなどを取得 以降 探索される側のモードにして 探索をしやすくする。

    要救助者の意識が「ある」「なし」 とは関係なく 捜索側端末から 遭難者端末を遠隔操作することが可能である。
    これが 従来 ややもすれば 長期間 大変な労力を要していた 行方不明者などの捜索が容易になり 早期発見・救出につながるだろう。

    北陸総合通信局「登山者等の位置検知システム」の実証試験を公開
    平成26年12月4日(木)医王山スポーツセンター
    http://www.soumu.go.jp/soutsu/hokuriku/press/2014/pre141125.html

    ---------------------------------
    (8) 電池消耗を抑える
    ---------------------------------

     法令上 特定小電力無線局として1Wの出力まで許容されているであるが、

    高出力にし、電池の持続性から電池容量を大きくして 電池の持ちをよくしようとすれば 嵩張って 重くなり、 携帯性が落ちる。

    出力を上げれば 伝搬距離は延びるが 電池消耗が激しくなるが、 出力を落とせば、省電池などメリットはあるが 伝搬距離は落ちる。

    出力、電池消耗、伝搬距離、電池容量、電池持続時間、携帯性の バランス上 ちょうどよい 最適な選択があって、むやみやたらに 高出力 大容量重量電池ばかりが 良いわけではない。

    電池消耗を抑え、軽快な携帯性をもって 捜索に必要な 探索範囲に届けばいいのである。


    実証実験で使われた端末は バランスよくまとめられた 良好なスペックだ。


    ---------------------------------
    (9) 電波法令上の課題
    ---------------------------------


    機器自体の完成度は高いのだが、最後に実用化にむけてクリアーしなければいけない最終の課題として、電波帯域の電波法令上の 課題が残っている。(総務省管轄の法令)

    利用しようとする150MHz周波数帯は、すでに動物探査システムで使われている帯域。

    規制緩和で 2012年省令改正で 動物検知通報システム特定小電力無線局は 出力が 10mWから1Wまでアップして 使いやすくなったが、動物探査システムは、雪崩ビーコンのように常時発信モードでつかわれていて、電波が常に混雑しやすい。

    しかも 常時発信だけに 電池消耗が激しく、動物につける首輪は大きく、重い。

    さらに探知するアンテナは扱いにくく、探索効率がとても悪い。

    動物探査システムの効率化も、この際、早急に、はからなくてはいけない。

    動物探査システムも 連続的に送信する ビーコン方式を GPS測位と送信制御を組み合わせた 軽量で 探索に効率的な機器にして、小さな首輪で、より効率的な情報が たくさんえられるシステムにすれば、限られた電波を有効利用できる。


     注 [必要なときだけ 送信するように すれば 10倍の電池持続になる] 


    貴重な 150MHzの帯域の電波 の有効利用には まずチャンネルの帯域をナロー化し 必要なときだけ 発信するモードにしていかなくては、容量的に とても足りないのだ。


     注 [ナロー化 すれば 50倍の容量になる] 

    ---------------------------------
    (10) ナロー化 時間的に整理
    ---------------------------------

    電波の帯域をナロー化して 使えるチャンネル数を増やし 時間的に電波使用時間を整理して 必要なときだけ瞬時に電波を発信するようにして 限られた周波数帯の有効利用を図らなくては 登山者捜索と 動物探査ともに うまく 運用できない。

    ---------------------------------
    (11) 山小屋に探索や中継基地
    ---------------------------------

     さらに有効な捜索が行えるように 探知できる基地として 山小屋などの救助ネットワークをしっかり整えておくことが重要だ。

    捜索側の 地上設備を整えることも大事であるが、さいわい 富山県側の山小屋はもちろん 、長野県側の山小屋のみなさんも 登山者等の位置検知システムの導入に きわめて協力的である。


    山小屋に基地を設置すれば 劔岳 周辺 すべてカバーできる


    見守り ネットワークが 構築されていることが大切だ。

    ---------------------------------
    (12) 規格統一 端末の普及 
    ---------------------------------
    457kHzの雪崩ビーコンが規格統一され普及したように、登山者等の位置検知システムの普及にも 、「規格統一」が絶対必要だ。

    商品化する メーカーが 一定の規格を統一して 捜索側にも みな共通できるようにして 登山者端末の普及をはからなくてはならない。

    規格統一すれば 普及に弾みがつく。

    そのうえに、さらに 製品化される各メーカー端末の価格設定は 低廉な普及しやすい価格帯 にしてもらいたいものだ。


    ---------------------------------
    (13) 登山者の意識
    ---------------------------------

    普及するには 登山者自身が どんな場合でも 自助努力の姿勢をしっかり持ってもらった上で、

    すべて人に頼らず セルフレスキューをしっかりできるようになって

    安易に 人に頼らない 自助の 意識をさらに高めていく必要がある。

    そして やはり レスキューを要請するばあい があるかもしれないと

    登山者位置検知システムを 携行し 万が一に備える。


    ---------------------------------
    (14) 誤操作
    ---------------------------------

    アメリカのコスパスサーサット衛星利用の SPOTなども誤操作によるSOSが かなり多いらしい。

    人間のうっかりミスによる 誤操作。

    オオカミ少年のようにならないよう 誤操作対策も必要で、万が一の 誤操作にたいしての 「要救助の取消」をどうするかなどなど。

    まだ課題はあるが 救助ボタンに 頑丈なカバーをつけ 簡単に押せないようにし 一度押しても さらに もう一段の再確認のボタン押しも必要になるかも?

    ---------------------------------
    (15) あとは 電波法令上など 残された諸問題などが クリアーできれば
    ---------------------------------

    いずれにしても 実証実験で証明された通り システム自体 おおむね 完成。

    あとは 最後に電波法令上など 諸問題などが クリアーできれば もう実用化 商品化段階にきている段階だ。

    早急に 「登山者等の位置検知システム」の運用が開始されて、遭難者の救助が、より迅速に より的確な捜索が行われ、遭難者の救命に大いに役に立つことを期待したい。


    以上 (1)~(15) が 講演メモ


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    講演を聞いて ここで 改めて 基本的なことを 思いおこす。

    リスクホメオスタシス
    ---------------------------------
    「雪山での行動に関するリスクホメオスタシスの例として考えられるのは例えば、エアバッグを装着することにより、より高リスクな単独行動を行うようになる。あるいは、ヘルメットを被るようになって滑走速度が以前より速くなる。雪崩教育を受け雪崩に対する対策に自信が生じて、雪崩斜面にどんどん入っていくようになる、などが考えられる。」

    『山岳雪崩大全』雪氷災害調査チーム編 2015 山と溪谷社
    ---------------------------------

    あへて 悪い たとえで恐縮だが 酒酔い止めの特効薬や胃薬を服用しながら 大酒を飲み 薬で酔を抑えて 更に深酒する ようなことがあっては ならない。

    登山の基本原則にたち戻って 姿勢を正すべきで、あくまで 登山者の基本姿勢として 登山者は自然にたいして つねに 謙虚な気持ちをもち 登山技術を磨き、装備をととのえ、体調を完全にして、天候を適確に判断し ナビゲーションの読図力・地形判断力を高めしながら 道迷いのないように慎重な行動に徹し、実力に見合った 背伸びのない 余裕を持った 安全登山を行うよう 常に心がけたいものだ。

    登山者位置SOSシステム完成の暁には 万が一に備えて 端末を携帯するのこと自体は 大変 ありがたいことだが 安易にSOSが出せるからといって、 登山者は 「安全登山の基本原則」を ゆめゆめ忘れないようにしたいものだ。

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    当日の講演資料など 四国総合通信局のサイトに公開されています。

    四国総合通信局は、2015年2月27日に高松市(e-とぴあ・かがわ
    BBスクエア)において、「山の防災システムセミナー」を開催。

    http://www.soumu.go.jp/soutsu/shikoku/koho/teleporter/20150227.html

    【講演資料】 岡田(おかだ)教授
    登山者等の位置検知システムの開発に関する調査検討状況について
    ≪登山者の見守り及び遭難者の救助支援≫(PDF 3.7MB)
    http://www.soumu.go.jp/main_content/000346054.pdf

    岡田教授講演資料

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