雪崩の最近のブログ記事

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『山岳雪崩大全』雪氷災害調査チーム 編 2015年2月5日 初版 山と溪谷社

 『最新雪崩学入門』1996、続編 『決定版雪崩学』2002 に続く 続々編といえる本で 雪崩について ことに 登山 スキー、スノボ などの対象となる山岳地帯での雪崩についての最新の 知見が盛り込まれている。

事故事例の分析も 新しい。

2013年11月23日の立山 真砂岳での7名死亡
2012年の三段山
2011年 猫魔ヶ岳
など など

もとより 雪は

「こな雪 つぶ雪 わた雪 ざらめ雪 みず雪 かた雪 春待つ氷雪」
など どころではない ぐらいに

つねに刻々と 変化し 氷か、水か、大気に昇華か などと 七変化どころか 変幻自在に 千変万化する。


降雪後 雪質や形の変化とともに 天候により 場所的には 同じ場に とどまって いる雪もあるし 風に飛ばされたり 重力にしたがって 移動していく 雪もある。

短時間 あるいは 長時間かけて 地球の重力の法則に したがって 低い方に 低い方に 徐々に あるいは 急速に 急激に 動いたりする雪も でてくる。

雪崩の速度は 新幹線のような 超スピードになったりするし、氷になって動く 氷河などは じわじわ と 年に何センチとか ゆっくり ゆっくりと 低きに流れるように 下に下に流れていく。

雪の変化 移動の 変幻さなど 姿や形や動きなど 人間がすべて わかったとして理解して 雪の動きを予測し 察知するのは、たいへん難しいことだ。

たとえ ほんの少しの 雪の動きの 予兆でも 細心の注意で 探し出すことさえも そうたやすいことではない。

むしろ 本書を見れば 雪の変幻さは ますます わからないことの方が 多いのでは と思ったりもする。

実際のところ わからないことばかりなのだろう。

そんな状態でも 我々は どうすれば 少しでも より 安全に 雪山に接することができるか?


 雪山では どう準備し どう行動すれば ど少しでも危険リスクを減らすことができるのか?

そして 不幸にも もし 万が一 雪崩にまきこまれたときの対処の方法 など  しっかりした指針を本書は示唆してくれて、最新の情報がしっかり盛り込まれ 「大全」にふさわしい 内容になっている。

 この本を読んで とくに ずばり気をつけなければと 思ったのは 以下の

 佐々木大輔氏の 実際体験の話。


「-------他人のシュプールがどれほどあっても、安心はできない-------」
というのを

 スキーヤーを 登山者流 で言えば

「他人のトレースがいくらあっても 安心はできない。」
ということになる。


以下 本書からの引用。182-183ページ 佐々木大輔氏
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■2006年2月フランス トロワバレー クーシュベル。

(ガゼックスとは ガスによる人工雪崩発生器)

「------ガゼックスによるコントロールがあり 数百人の滑り手が滑った後であっても、時には雪崩のトリガーになるスイートスポットが残る、ということだった。」

■2013年11月23日 立山

(この日 7名死亡の雪崩遭難が発生した)

「 すでに 数十人の滑り手がこの斜面を滑っていたのだが、この夕方近い時間までスイートスポットが残されていたようだ」

「このふたつの事例を間近に体験し、他人のシュプールがどれほどあっても、安心はできないと心に刻み込んでいる。」佐々木大輔氏
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獲物を追う 猟師は 雪面に残された 動物の足跡から 多くの情報を得て 的確に 判断する。

同様に 雪面に残された 登山者のトレースから いろいろな情報を 得ることができる。

 登山者トレースから 単に人数 履物 歩幅 ペース 装備 など 表面的な 動きや 情報を読みとるだけでなく ルートのとり方などから  経験 判断力 など 大げさに言えば 山に対する考え方までも 知ることができる。

2015年2月1日 お亀岩から 天狗峠まで まだ新しいトレースがあった。

雪庇などの危険個所など 含む お亀岩 天狗峠のあいだでは
ルートのとり方が 危険回避のキーポイント。

2015年2月1日 天狗峠迄の間のトレースからは 先行の 一行は 基本を押さえた 手堅い 動きをしている 感じがし、山に対して 取り組む真摯な姿勢も 伝わってきた。

もっとも 雪山は天候 雪質など 与えられた条件は 時々刻々 変化する。

ことに 四国のような 南国の雪山は 一日のうちで 雪質の変化が 激しい。

先行者がトレースをつけた時間には 正解でも 何時間か経過したあとに 後続が 通過する時間帯には 状況が一変していることも多い。

やはり 通過する その時間にあわせて 自分なりに その都度 的確にルートを判断して進んで いくことが求められる。


過去には おなじ お亀岩 天狗峠 間で 目を疑うような光景に出くわしたこともあった。
2010年1月24日 全く無知なパーティーを目撃し驚いた。


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温暖な地域でも 、雪山は 危険が一杯。


http://www.youtube.com/watch?v=mGAh8R0AJCQ


2015年1月24日 西熊山 南面


2015年2月1日 西熊山 南面


2015年2月1日 西熊山 南面

2015年1月24日グライドで おおきな クラックがはいり
 もうすぐ雪崩れるとおもっていたが

一週間後 みると 案の定 雪崩れていた。

前週1月24日に続けて 2月1日も
西熊山 山頂へ 稜線つたいにたどるのはやめて
より安全側のルートを辿った。


北側の斜面でも 風が吹いて注意するのは
 吹き飛ばされた雪の堆積で できる ウィンドスラブ

この付近の山域 矢筈山で

一見 安定しているようにみえる 雪面が 亀の甲羅状に 一気に崩壊するなど
ウィンドスラブには 過去  痛い目にあったこともあり

風で吹き飛ばされてきた雪の罠
ウィンドスラブ帯があるかもしれないので はいりこまないように
雪面を より注意深く 読んで進んでいかないといけない。

2014年2月2日 お亀岩避難小屋

2014年2月2日 三嶺 天狗塚の 縦走途中 

お亀岩避難小屋を見ると 裏側の斜面で雪崩が発生し デブリが小屋の近くまで押し寄せていました。

デブリを見ると 本日のと 前日以前のと ありましたが
今回は 屋根の落雪が ガードしたような 形で ギリギリ セーフでしたが
まだ 裏の斜面には 大量の崩壊予備軍のような 雪塊があり まだ 次の崩壊が心配です。

(2011年)平成23年2月26日に比べ まだ雪崩の量が少なく デブリも寡いですが 今後 更に 崩れそうで 注意が必要です。


http://youtu.be/y2xyyHYF1Jk


ピカサ写真アルバム


2014年2月2日お亀岩避難小屋


2014年2月1日 お亀岩避難小屋と 24時間後の 2月2日 お亀岩避難小屋
2014年2月2日お亀岩避難小屋には雪崩が 押し寄せていましたが
前日 2014年2月1日9時半頃お亀岩避難小屋を rikimaru_R様  2LTSR20DEK6A様 が訪れており写真提供いただきました。ありがとうございます。ヤマレコ


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2014年2月1日お亀岩避難小屋 rikimaru_R様  2LTSR20DEK6A様 撮影


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2014年2月1日お亀岩避難小屋 rikimaru_R様  2LTSR20DEK6A様 撮影

2月1日には 小規模雪崩ですが 24時間後 2月2日昼には 更に大きく雪崩発生した お亀岩避難小屋。


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2014年2月2日12時50分頃は お亀岩避難小屋は 斜面からの雪崩が 押し寄せていました。


デブリの経過時間を見ると 
1日にも 雪崩れ 2日にも 何回かの雪崩が発生しているようで、たまたま 屋根の落雪がブロックとなって 助かったのですが その後の経過 が心配です。

2日 季節外れの暖かさで さらに 一気に緩んだ雪面。

 天狗峠 東面 南面で 真新しい デブリ など 縦走中 何箇所もの 雪崩痕を確認いたしました。

季節は急速に進み、雪解け は突然 襲ってくるようで 山中いたるところ 本当に危ない時期 本当に気をつけないといけませんね。

お亀岩避難小屋 2月2日


天狗峠 東面 2014年2月2日


天狗峠 南面 2014年2月2日

■三嶺(1893) 冬の名頃コース 特に ご注意。


三嶺 徳島県 東祖谷 側からの 登山ルート
として名頃からのコースは夏はポピュラーな一般コースですが

多雪の冬は
樹林限界を越えたところで

 雪の不安定なときは 危険な箇所がでてきて
 適確な雪質判断と 慎重な行動が要求される厳しいコースとなります。

ここは かねてから 積雪期には 雪崩のリスクありと 指摘されています。

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2006年1月26日 徳島新聞

四国の雪崩

三嶺(1893)南面、雪崩リスクの高い斜面
http://shumiyama.com/nadare/2011/12/1893.html
http://shumiyama.com/mt/shumiyama_web/2011/02/1893-1.html

http://shumiyama.web.fc2.com/kiroku-huyu/2006nadare.html

2013年12月21日の菅生道 下山中に  二組の 登ってくる宿泊パーティーとすれ違ったが

名頃ルートの冬期の危険性が認識されてきて
いやしの温泉郷からのルートが見直されてきているのではないでしょうか。


名頃ルート 気になること


三嶺南面


例年 雪崩痕が 多々みうけられ 雪崩リスクの高い斜面。

2011年12月17日はまだ初冬期で とくに問題はなかったが、雪が多くなる積雪時期には 名頃から 夏道コースでは この斜面の通過が ポイント。

積雪状況など見て慎重に判断が必要で、場合によっては 引き返す判断も。


■2008年3月8日 三嶺山頂
「三嶺山頂は風弱く、快晴。長居をしていると、突然、山頂南面で雪が崩れた。スローモーションのようだったが、雪崩中にはカメラのシャッターは間に合わず、直後の写真がとれただけだった。」



■登れる 登らないは その時の雪質 積雪の状況の「適確な判断」次第です。

以下 どちらのパーティーも 状況に応じて 適確な判断を下しています。

2012年1月7日
実力パーティーでさえも かなり苦労しています。

2011年2月20日 雪質を 適確に判断し 撤退したパーティー


■2013-2014年はヒョットして大雪の冬になるかも。
もし 名頃ルートを選択するのなら くれぐれも ご注意!



岳人 2008年4月号 備忘録』柳澤昭夫氏


「雪崩もそう。カナダの基準などがどんどんもちこまれてきて、雪崩は科学的に解明されたという錯覚が生まれつつある。でもおれはそんなことちっとも思っていないし、わからないことがたくさんある。(槍平の雪崩もそうですよね。)

でるかもしれないという予想は成り立つかもしれないけど、このいま雪崩はでないという確証は絶対に手に入らない。


きょうあたりは大丈夫だろうというのは甘い推測にすぎなくて、甘いか辛いかはいつも結果論。雪崩に遭へばバカもんといわれ、遭わなければたいしたものんだといわれるだけの話。結局は推測の域を出ない。


みんなが行けば怖くない式で、天気はいいしあいつらも行っている、軟弱と見られるのはシャクおれらも行こうよという連中がある一方、いやみんなは行動しているけどおれたちは何がなんでも今日は動かないという信念があるかどうかの違いに過ぎない。」


柳澤昭夫 氏
『岳人 2008年4月号 備忘録』
http://blog.goo.ne.jp/shumiyama/e/eb85ebd3d846c54ecdfa544e191444cf


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ニューヨーク・タイムズの雪崩事故について調査し分析した 英文記事。
Snow Fall: The Avalanche at Tunnel Creek

http://www.nytimes.com/projects/2012/snow-fall/

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プロフェッショナルなスキーヤー ボーダー、16人中3名が犠牲になった ちょうど1年前(2012年2月)発生の アメリカ ワシントン州トンネル クリークTunnel Creek での雪崩事故。

全文 英文で 長文ですが パート1-6まで スクロールしながら見ることができ、 映像 などで 雪崩発生のメカニズム詳細がCGなどで とても よくわかり 大変 勉強になります。

エアーバックも出てきます。


ニューヨークタイムズ紙の記者のジョン ・ ブランチ著 ニューヨーク ・ タイムズ記事

2012、12 月 21 日に公開。

よくできたウェブサイトで パート1-6まで スクロールしながら見ることができます。

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Snow Fall: The Avalanche at Tunnel Creek

http://www.nytimes.com/projects/2012/snow-fall/



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スキー場の境界
救助費用は$1000.00
同行者はいますか
ビーコンは? プローブとスコップは持っていますか?

"Read this," one sign read in all capital letters.

"Ski Area Boundary. Minimum of $1000.00 rescue fee! Do you have a partner, beacon, probe and shovel?

Explosives may be used in this area at any time.

Continue at your own risk."

A smaller sign read:

"Stop. Ski Area Boundary.
No ski patrol or snow control beyond this point."

To the right was a gray steel box. It was labeled, "Avalanche Transceiver Check Station."

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「趣深山 四国の雪崩」



「趣深山 四国の雪崩」

ブログ「趣深山 四国の雪崩」を開設いたします。

というのは 近頃 この山域の雪山に 雪崩など、 まったく無関心な登山者を よく みかけるようになってきたからです。

多雪地帯では 雪崩遭難事故も 頻発し、 みんなおのずと それなりに 注意するようになるのですが 、穏やかな気候の 四国など 温暖 寡雪地帯での雪崩情報は あまりに数少なく 「まさか四国では 雪崩など」と 思い込み あくまで無雪期の延長で 安易な気持ちのままで、 積雪期の山の危険性を認識することなく そのまま雪山 にはいることに なるのでしょう。

こうした「 無知の至福  」 状態では 雪崩の危険に まったく無防備であるといえます。

ところが 四国でも 過去 雪崩遭難死亡事故が 何件か 発生していますし、毎冬 足しげく山域に通うと、 ときには ヒヤッとすることなど たびたび あります。

剣山(1955)山頂の測候所は 既に廃止・撤去 されましたが 貴重な公式観測記録が残っています。

その剣山山頂(1955)測候所 1970-1990年の公式 降雪記録   (寒候年) を見ると 降雪の深さ 合計で 212~802 cm と 雪崩があって当然の降雪量なのです。


たとえ温暖な四国でも、 積雪の多い山では それなりに 雪崩への警戒をしなくてはならないのです。

拙作「趣深山」サイトでは「温暖な四国でも」 など 四国での雪崩情報をサイト上に公開していましたが、今般 拙作「趣深山」サイトでの 既出の四国雪崩情報を 整理してみました。

サイト上で 情報共有化し、 四国での 過去の事故や雪崩発生事例など、 謙虚に 学び、 雪崩への注意を喚起し、 雪崩への危険感受性を高めていこうという、 姿勢こそが 、とても重要だと思い、自戒をこめて、 本ブログを開設することにいたしました。


雪や雪崩については 全く 不十分な 知識・経験しかない持ちあわせておりませんのに、 このような 「雪崩サイト」を 公開するのは 浅学な身を恥じながら 誠に こころ苦しい ところですが ご海容のほど おねがい いたします。

また 読者皆様の ご情報提供や ご指摘 など など ございましたら ぜひ メール コメント いただければ 幸甚です。

「趣深山」サイトともども 今後とも よろしく ねがいます。

天狗峠 雪崩 平成17年2月13日撮影  



お亀岩避難小屋 雪崩 平成23年2月26日撮影 



2005年12月27日 徳島新聞

徳島新聞 2006年1月26日 の記事もあります。


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「習慣がいつも問題だ。アンカレッジ(アラスカ州)の近くにある、この明白なアバランチ・パスにおいて、なぜ皆がこの斜面の一番急な斜面をいつも横断するのか? 僕はそこに夏道が存在することに気がつくまで、その行為が理解できなかった。」
(Chugach Range,Alaska)(C)Bruce Tremper
『雪崩リスクマネジメント』Bruce Tremper著 日本雪崩ネットワーク訳
 山と溪谷社 2004年12月1日

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2011年3月26日 落合峠(1520)から 矢筈山(1848)への途中

季節はもう 3月下旬。 例年の この時期にくらべ この年は雪が多く残っていたのに、雪も締まっているからと、迂闊にも判断。

夏道の トラバースコースをとってしまった。

積雪期は いつも意識して尾根通りのコースをとっているのだが 3月下旬という 先入観が判断の根底にあった。

途中 雪面から 例年より すこし 季節が違うなと暗示的な 違和感を感じとってはいたが もう少しで 鞍部へ という気持ちのほうが 先に立って 前へ前へ 進んでしまった。

そのとき 一歩 踏み出すと共に 突然 大きな雪面全体が 一気に 亀の子状に破れて 動きだし 雪面が滑りだした。

やばい!

はじめ 畳四帖半くらいが 瞬時に 10m四方 20m四方と どんどん広がって 瞬く間に さらに 大きく どんどん 亀の子のキレツが 広い雪面いっぱいに ひろがって動いていく。

一瞬 スローモーションのような 割れと 雪面の動きに 体勢は崩れながらも 必死に 端部に逃げようとするが、 はやい雪面の流れのなかでは どうしようもない。

 なんとか 主流の流れに だけは まき込まれないようと 立て直し 必死に逃げようとする。

このあいだ 時間としては ほんの数秒だったろうが ずいぶん長く感じた。

止まってくれ。

さいわい 端部の ほうだったので 流された距離も少なくてすみ 埋没せず 怪我もなく ことなきをえて 雪崩は 止まった。

 雪崩の主流の中に まき込まれたら さらに はるか下まで流されてしまうところだった。 

助かった。

本当に危ない。

すぐに引き返し 矢筈山 第二峰経由に切り替えて 矢筈本峰へ向かった。

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2011年 3月 26日 撮影
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「つまり、雪崩地形に行っても何も起こらない。もう一度行っても何も起こらない。さらにくり返し行っても、まだ何も起こらない。そう、味をしめるのだ!
だが そこには決定的な事実がある。積雪は95%の確率で安定しているのだ。つまり 、雪崩についてまったく無知でも、20回に19回は何も起こらない。これは かなりの勝算だろう。だが 逆を言えば、20回に1回は、とてつもない恐怖、打撲、ケガ、あるいは死を味わうことになる。」
『雪崩リスクマネジメント』Bruce Tremper著 日本雪崩ネットワーク訳
 山と溪谷社 2004年12月1日


■たとえ 5パーセントの確率でも  雪山に数多く いけば いくほど 雪崩に出くわす場面は多くなる。

山に行く機会が多く、山中での滞在時間が 長ければ長いだけ それだけ 危険に遭遇する機会は増える。

正直言って 若い頃は 中部山岳の多雪地帯で、 いま ふりかえればゾッとする 「無知の至福」のケースもあった。

その後も 雪山では足元からバサッと切れるなど ヒヤッとした場面など たびたび体験。

それでも 運良く まあ まあ 大丈夫。

しかし いままで 大丈夫から 今後も まあ大丈夫 というのは 自分勝手な判断で、単なる希望的な憶測にすぎない。

やはり そのつど 冷静な判断が必要なのだろう。

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"僕は16歳の時、ほとんど何も考えずに、高い雪庇から飛び下りたり、険しいクーロワールに飛び込んだりした。今は、ロープを装着せずには、雪庇の先端に近づくことさえあり得ない。年齢と責任が増し、僕は注意深くなったが、それはバリー・ルバルトナーの言葉を借りれば「良い判断は経験から、経験は悪い判断から得られる」からである。"
『雪崩リスクマネジメント』Bruce Tremper著 日本雪崩ネットワーク訳
 山と溪谷社 2004年12月1日


■ことに、「温暖な四国だから まあ大丈夫だろう」 という 先入観は 自分勝手な判断 以上に 一番怖い。


実際 温暖な四国でも 雪崩の遭難事故は 

1943年 3月29日 石鎚山 初芽成谷 上部 おたけ沢 1人死亡
1963年 1月14日 高知県 天狗原 高原スキー場 5人救出
1965年 3月16日 一の森 1人死亡
1968年 2月23日 石鎚山 初芽成谷 - 雪瀑間 4人死亡
1997年 2月11日 笹ヶ峰 北面 1人死亡
2001年 2月14日 石鎚山 ニノ鎖 三ノ鎖間 怪我

など 発生している。

羹に懲りて膾を吹く。

雪山は 臆病な方が いい。

臆病なら たとえ悪い判断でも 大事にならずにすむ。
ただし 良い判断のもとになる 貴重な経験をつむのには より多くの時間がかかる。

雪崩 2008




セルフレスキュー



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『バックカントリー セルフレスキュー
雪崩事故&ケガからの救出マニュアル』

近藤 謙司 監修
スキージャーナル
ISBN 978-4-7899-7009-9
2008.3.1 第一刷

株式会社アドベンチャーガイズ
http://www.adventure-guides.co.jp/

国際山岳ガイド近藤謙司氏 ブログ
http://blog.goo.ne.jp/kenken8848/

DVD付

雪崩発生時点から 状況確認 状況判断 生存者への聞き取りなど行い 
2次雪崩への警戒を怠ることなく 実にキビキビした無駄のない動きで的確に
埋没者を探索し 掘り出し 救出する。所用時間 8分。

それであっても やはり大事なことは

「バックカントリーでの行動で一番大切なことは、ことが起きた後のレスキ
ューテクニックより、ことが起こる前の勉強と行動であるということ。
事前の準備と正しい知識、技術、行動学の習得なくして、本書のレスキューの
みを身につけるというのは大きな間違いだ。」
はじめに 近藤謙司 著




『雪崩ハンドブック』



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『雪崩ハンドブック』
デビッド・マックラング ピーター・シアラー 著
  日本雪崩ネットワーク 訳
2007年12月14日 初版

東京新聞出版局 
ISBN 9784808308841

かなり 内容のある 座右の書だ。


日本雪崩ネットワーク
http://nadare-net.jp/




『岳人 2008年4月号 』




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『岳人 2008年4月号 備忘録』柳澤昭夫氏

「雪崩もそう。カナダの基準などがどんどんもちこまれてきて、雪崩は科学的 に解明されたという錯覚が生まれつつある。でもおれはそんなことちっとも思っていないし、わからないことがたくさんある。(槍平の雪崩もそうですよ ね。)


でるかもしれないという予想は成り立つかもしれないけど、このいま雪崩はでないという確証は絶対に手に入らない。

きょうあたりは大丈夫だろうというのは甘い推測にすぎなくて、甘いか辛いかはいつも結果論。雪崩に遭へばバカもんといわれ、遭わなければたいしたものんだといわれるだけの話。結局は推測の域を出ない。

みんなが行けば怖くない式で、天気はいいしあいつらも行っている、軟弱と見られるのはシャクおれらも行こうよという連中がある一方、いやみんなは行動しているけどおれたちは何がなんでも今日は動かないという信念があるかどうかの違いに過ぎない。」

柳澤昭夫 氏
『岳人 2008年4月号 備忘録』

『岳人 2008年4月号 』

大町山岳博物館






『ドキュメント 雪崩遭難』



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『登山者は今までの経験だけで山の天候、積雪状態、雪庇のできる具合を判断しないほうがよいと言える。同様に、山で培ってきた今までの経験という ものさし だけで、雪崩の危険を判断すべきでない。

気候変動という悠久の時間変化に比べれば、私たちが山で経験している時間は余りに短すぎる。

気候変動に応じた新しい雪崩判断の「ものさし」、科学的な知識と経験で得た知識を融合させた「ものさし」を、登山者は身につける必要があると私は考えている。』阿部幹雄著

『ドキュメント 雪崩遭難』 阿部幹雄著 山と溪谷社 2003年2月初版






雪崩に関連するサイト内の他のページ



温暖な四国でも

三嶺 天狗塚 付近 雪崩(2006 02 22)

低視程の牛の背

平成20年 冬 天狗峠

『雪山100のリスク』



雪崩 2008






温暖な四国でも

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温暖な 四国でも
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nadare



『 二十年間に渡って四国の山々を登山してきた経験があり、冬の笹ヶ峰にも頻繁に登っているある登山者は、
「あんななだらかな笹ヶ峰で雪崩が起きるとは思ってもみなかった。」と言う。 』
「ドキュメント 雪崩遭難 」阿部幹雄著 山と溪谷社 2003年2月初版





★ 四国の雪崩 遭難事故


2003年2月 「ドキュメント 雪崩遭難 」阿部幹雄著 山と溪谷社 発行
が 発刊されました。

この中で 四国の 山域での 雪崩 遭難事例が 詳しく 出ていました。

1997年2月11日 笹ヶ峰
2001年2月14日 石鎚山

私も 四国の雪山へ 頻繁に出かけていますが、まあ 南国の雪だから 大丈夫だろうと 安易に考えている ことの方が多かったのですが、この本で やや 認識を新たにした次第でした。

さらに「決定版 雪崩学」北海道雪崩事故防止研究会編 山と溪谷社発行 2002年 によると
更に 前出の二例 後出 一例 以外に以下の 四国内での雪崩事故例が 出ています。

1943 03 29 石鎚山 初芽成谷 上部 おたけ沢 1人死亡
1968 02 23 石鎚山 初芽成谷 ? 雪瀑間 4人死亡
1963 01 14 高知県 天狗原 高原スキー場 5人救出
1997年2月11日 笹ヶ峰








1997年2月11日 笹ヶ峰
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「ドキュメント 雪崩遭難 」阿部幹雄著 山と溪谷社 2003年2月初版より引用

アプローチが簡単なので
冬期でも 大勢の登山者で賑わう山である。


夏道 登山道の一部区間が 雪崩の走路と重なっている。
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「ドキュメント 雪崩遭難 」阿部幹雄著 山と溪谷社 2003年2月初版より引用








2001年2月14日 石鎚山



著名山ブームもあり 冬期でも運行するロープーウェ? があり やはり年中 賑わう山だ。

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「ドキュメント 雪崩遭難 」阿部幹雄著 山と溪谷社 2003年2月初版より引用








★ 剣山 測候所の方が 殉職



1965年3月16日 剣山山系 の 一の森 北斜面 で剣山 測候所の方が 雪崩で遭難し 殉職しました。
今では 測候所は廃止されていますが、建物は残っています。また 遭難碑が 建てられています。
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「 山を愛し 気象観測を愛し こよなく 妻子を愛せし 男 ここに眠る  新田次郎 」
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★ 雪崩注意報

四国でも 冬から 春先などに よく 雪崩注意報が出されることがあります。
以前は あまり気にすることなど なかったのですが、雪面の具合など やはり 気にするようになってきました。

南風など 急な温度上昇などで 急速な 雪解けが 進むようなときや、堅い雪面に 新たに積もった 不安定な雪など、いつなにが 起きても おかしくないのです。

 






★ 実を言うと 一冬で 何度かは 不安定な 雪面に 出会っているのです。

降雪中 や 降雪直後 あるいは  堅い雪面にの上の 不安定な雪 南風で 急速な 温度上昇時 など 色々な ケースがあるのですが、

  実際 私のよく通う山域でも 不安定に雪が付いた 斜面で 足下から パサーと 板状の雪の層が 崩れるのは そう珍しいことではありません。

危なげな 不安定な 雪庇の辺りを 通過するのも よくあることなのです。
崩壊過程の 雪庇に 出くわして 肝を 冷やしたこともあります。

雪崩れた跡に出くわすのも ありますが、 朝 通った時は 大丈夫だった 雪面が 夕方 帰途に通るとき には 斜面が崩れていた ということもありました。

長年 登っているから 大丈夫 だというのは 無知の延長線 です。

何度か 危ない 経験するたびに 積雪期の山は 無雪期とは違う 難しさがあると 感じるようになっています。
雪の 山は やはり 何が起きても おかしくない というのが 本当のことなのです。








★ 雪国に 比べ 事故例は少ないものの


四国では 雪の 絶対量が少ないから まだ 事故にならないケースが多いのでしょうが、やはり それでも 積雪は 降るところには、降ります。

積雪が少ないから 却って 無知から くる 危険感受性の低さが 問題なのでしょう。








★ 昭文社の 山と高原地図 


昭文社の 山と高原地図「石鎚、四国剣山」  で よくみて見ると 積雪期の トラバース注意などと 地図上に書きこみされた ところがあります。 それなりに 過去の危険データ を基に 書かれていることで 疎かには出来ません。
積雪期の ルートの取り方は 雪面の状況次第で 色々 変わらなければいけない のが 基本です。

夏道 通りの 赤テープに 惑わされて 積雪期の ルートの取り方の基本が 取られていなかったりしていないか 反省 してみる必要があります。

雪のルートは 積雪状態など 自分で きちんと判断していくことが 大事なのです。






★ 夏道沿いの 赤テープ


雪のあるときは 本来 積雪期用の 雪道を利用すべきです。
場所によっては 夏道と 冬道が 同一 といったところもありますが、夏は通れても、雪があると 危険だ という 所もあります。

また 積雪期であっても 雪の量 雪質など考えて その都度 ルートの取り方など 判断することになります。

赤テープが あるから 雪道だ と思うのは 誤りで、自己の判断で、雪道を 決定すべきです。

むやみやたらの赤テープは 百害あって 一理なし ではないでしょうか。

私の 赤テープへの考えは ここにあります。 赤テープ考






★ 前出の「ドキュメント 雪崩遭難 」阿部幹雄著 山と溪谷社 発行にでてくる 四国の山域での雪崩事故 教訓



『 石鎚山雪崩事故の教訓として、次のようなことが考えられるだろう

1 「雪崩は起きない」と思っていた所で雪崩は起きる。
2 弱層テストを省略しない。
3 雪崩ビーコンを使う。
4 雪と雪崩の科学的知識を身につける。 』

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雪風呂に どっぷりと 入りたい時は是非、必要です。


単三 2本で 送信時 300時間と長持ちしますが、雪風呂の長湯は禁物です。
出来れば15分以内に、雪風呂から上がらないと、大変 危険です。








★ 雪の 怖さ


刻々と変化する 雪のコンディション
 道が 隠れて 安全 正確な ルートの取り方が必要
 雪が 降っていると 視界不良 ホワイトアウト
 湿雪で 濡れて 凍り 低温度 の障害
 積もって 深い雪になると ラッセルで苦労
 堅く 締まって 凍って滑りやすく
 不安定に積もると 雪崩
 急な温度上昇の雪崩など
こんな 危険が あれば あるほど 慎重に 行動していくようになるのですが、
それでも また別の 新しい苦難が 待ち受けています。

 更に 一番危ないのは 大丈夫と 思っている その固定観念が一番怖いのです。







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2004年03月21日 第1版制作
2008年4月6日 更新