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地図、磁石、GPS、持っていても
道迷いに陥った、悪条件のもとで 地図 磁石 GPSを使いこなすことができるかどうかの話題です。
★ 残置ザック 3個 平成5年(1993年)の道迷い遭難
雪解け と 雨に 洗われた 残置ザック
平成18年2月26日撮影
★ 地形図
「アセる気持ちを落ち着かせようと、小休止して地形図を取り出して眺めてみた。
しかし、視界がきかないうえ、いまどこにいるのかわからないのでは、地形図が
役立つはずもない。どうしたらいいのかわからず、しばらくその場に立ちつくした。
絶望感がじわじわと胸に広がっていった。」
20001年1月 常念岳 遭難
月刊誌「山と溪谷」 2006年2月号 「特別企画 道迷い遭難を防ぐ」より
羽根田 治 氏著
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★ 出版物から
この雑誌の記事に限らず 過去の道迷い遭難事例で 生還した事例について
詳しく 検証した 書物類は 最新の出版物 など いくつかあります。
最近 道迷い遭難につて いろいろな 本が出版されている。
- 「ドキュメント道迷い遭難」 羽根田 治 著 山と溪谷社 2006年1月
- 「山の遭難 生きた 還った セルフレスキューの秘訣」永田秀樹編 東京新聞出版局 2005年2月
- 「生還 山岳遭難からの救出」羽根田 治 著 山と溪谷社 2000年10月
これらは 道迷い遭難の事例を記述していて、遭難防止の点からも 大変貴重な教訓を与えてくれます。
「焦る気持ちを落ち着かせようと、小休止して地形図を取り出して眺めてみた。
しかし、現在地がわからず、視界がきかない以上、なんの問題の解決にもならなかった。
「やばい これが遭難なのか」
嫌な思いが頭をよぎった。
とにかく稜線に出ようと斜面を登り詰め、稜線らしき場所に出たような気もしたが、そこからどこへ行っていいのかわからない。
ならばと引き返していくと、風当たりがいっそう強くなり、再び雪も深くなってくる。
どうしていいのかわからず、「○○」はしばらく その場に立ちつくした。
絶望感がじわじわと胸に広がっていった。
「このままでは 死んでしまう。なんとかしなければ・・・・・・・」 」
北アルプス・常念岳 2001年1月
「ドキュメント道迷い遭難」 羽根田 治 著 山と溪谷社 2006年1月
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★ 低視程 で 道迷い
天候は 風雪模様、
低視程 で 天地の区別のつかない 白一色の ホワイトアウト状態。
歩いた足跡は すぐ消えてしまい 元来たトレースも たちどころに 消えてしまい 、
どちらから来たかも わからない状態になる。
積雪が多く 夏の標識などもあってもすべて埋没、
見渡しても 何も目標物が見えないし、
地形が全く平坦で 特徴がつかみにくい。
木が生えてなく 植生からの情報もとれない状態。
積雪期の山では よくある気象条件です。
この条件下では 晴れていれば なんで こんなところで迷うのかと思われるような
ところでも 簡単に 道迷いが発生します。
ましてや 複雑な地形や 平坦な特徴のつかみにくい平原状のところでは
しかし 低視程時、現在地が特定できず、ナビゲーションしていくのは 大変難しいのです。
天地の境がわからなくなる「ホワイトアウト」。
低視程時を選んで行動する雷鳥に言わせると、
「ホワイトアウト」とは人間の側の問題であって
単に「言い訳」に過ぎないということかもしれない。
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★ 地図が読めればもう迷わない。
「地図が使えるようになるためには、地図の特性とそれがもたらす限界や副作用を知り、
それを乗り越えるスキルを身に付けることが必要になる。
それができて初めて、「地図があるから迷わない」と言える。」
「地図が読めればもう迷わない」 村越 真著 岩波書店 2004年1月
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★ 読図がきちんとでき GPSを持っていたら
GPSの機器がプロ用だけで まだ 一般に普及し始める以前の段階では
道迷いは地図や磁石がの活用ができていないからだ。
読図方法をもっと習得すべきだとかいうことがありました。
しかし 実際 磁石 地形図を持っていても それを使いこなすには
前述のようにそれなりにスキルの習得や経験がいります。
最新出版物で記述された 道迷い事例をみてみると
掲載された事例では どれも 比較的新しいので、
もしGPSを持っていたら、ということが ほとんどの事例にも当てはまります。
かりに 読図方法は前述のように ある程度の習得で身に付けたとしたしても、
今日ではGPSの機器が手やすく一般用に普及しただけに
道迷いの時にはもっと活用されていいのでしょう。
★ 地図 磁石 GPS 持っていても
雪がたっぷり積もった積雪期 風雪模様の 低視程のホワイトアウト。
こうしたところでは はじめは現在地がわかっていても
一度踏み入れたら トレースはすぐかき消され、
元に戻るのにも苦労して、 一度踏み入れたら うまく戻れればいいいが 何度か戻ろうとしても戻れないとき、
気持ちは だんだん焦っていき 慌てて 動転していく悪い循環パターンに入る。
こうして 彷徨が始まり リングワンデルング(環状彷徨)で元に戻れば まだいい方で
全く違う方へ 彷徨していく。
平坦地で 始まりの位置が わかっていれば そこに戻るのができれば
それだけで いいのですが、それが できない。
そして 焦り 慌て はじめた気持ちは 振幅が大きくなっていって
ますます 歩き回り わからなくなっていく。
多分 一度 動転し始めた気持ちを 冷静にするのはなかなか至難のこととです。
大方のケースは 動き回り 更に出発地点がわからなくなり、
まったく 現在地を特定することができず、
地図磁石では どこにいるのか わからなくなります。
こうした心理状態で冷静さがないときは GPSも まず活用できません。
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★ まず 心を落ち着けて冷静さを取り戻すことがまず一番 大切。
実際 地図磁石を持っていても 冷静な判断ができる心の平静さが
厳しい気象条件下では 絶対必要です。
そうしたとき
慌てて 地図を出している内に 地図が激しい烈風に吹き飛ばされることもあるかも
しれません。
予備の地図も 風雪の積雪期登山には 必要なのでしょう。
もし 予備の地図がないなら 風雪のもとでも 地図は絶対吹き飛ばされないよう
細心の注意を払いながら 気合いをいれて 取り扱うべきです。
悪条件のもとでは
まず 心を落ち着けて冷静さを取り戻すことがどんな場合でも
まず一番 大切なのです。
そうすれば白一色からの中でも 焦っていた気持ちのもとでは見えてこない
いろいろな情報が読み取れるようになります。
冷静になればなるほど
地形の読みが より深くでき 読図の正確さも増して 道迷いを避けることができます。
実際、
烈風の吹きすさぶ 風雪模様で、
低体温症とか 脳の体温低下で思考能力低下とかの障害が出てきた場合。
言語障害が出てくるような体感温度が低下している状態。
こうした状況では、登山者は判断能力は低下して
次第に 追い込まれていき 一瞬 気持ちの緩みが出てきます。
同行者がいても お互いに コミュニケーションも満足にできず、
同行者 すべて 条件は だんだん厳しくなっていきます。
こうして 一瞬の心の緩みの 振れが大きくなって行き、
一度 乱れた 心の平静さは なかなか 取り戻せません。
低視程20m位の 白一色。
方向を定めて 慎重に歩いていくと
目の前に突然 見覚えのある岩が現れ ほっとする。
平成17年12月17日
★ 表向き 心の平静さを取り戻しても
それでも何とか 風を避ける場所に入って、
表向き 心の平静さを取り戻しても、
通常よりは判断能力は低下しています。
その状態で 読図 現在地推定の作業をしてみても 簡単には 現在地は特定できません。
何となく 不安のままの結果しかえられません。
こうして再び 不安なまま 行動しいくと 更に不安が増幅していく結果になります。
こうすると ますます深みに入り込んでしまうケースになる場合があります。
★ 深みに入り込んでも どうしても現在地が わからないとき 方策は まだ まだ あります。
この場合
深みに入り込んで どうしても現在地が わからないとき 方策は まだ まだ あります。
ツエルト 雪洞などで 一時待機して 視程がある程度 回復するのを 長時間 辛抱強く待つことができるか。
ある 瞬間 ガスが切れることも よく あるのです。
GPSがあれば現在地を特定できますが あらかじめトラックログをとるべく
電源を入れっぱなしにしていると
トラックバック機能で 元来たほうへ 戻ることができます。
またルート設定や ウェイポイントなどあらかじめ 入れ込んでおけば簡単に、
小屋 や 既知の場所へ戻れます。
最近の 地図入りのGPSでは 地図上の ポイントが GPS画面上に表示されます。
現在位置を特定できれば、不安な状態から脱出できて、自信をもって行動できます。
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★ しかし GPSを使いこなすのも
しかし GPSを使いこなすのも あらかじめ習得しておくことはもちろんですが、
より 大事なのは 使いこなすには やはり 心理的に安定状態でいるという
冷静さが絶対必要なのです。
地図 磁石 GPSすべて揃えていても 心の平静さがないと 機器を生かし切れず
現在地もわからないことになります。
深みに入ってしまい 彷徨し続け 長時間 吹雪かれ
脳を冷やせば 思考能力は更に低下し、
体全体が冷えてしまえば 低体温症にでもなれば
判断能力は更に低下し 体力 気力 急速に落ちてしまい
もう現在地どころか 地図磁石 GPSなど使いこなす どこでなくなってしまいます。
このようなとき 思いこみが行動を支配します。
思いこみは 全くアテにならないものです。そして ますます 彷徨状態へ入ります。
こうして 歩き回った末 やがて 自力脱出不可能な 「遭難状態」に陥ってしまうのです。
★ 日本アルプスの黎明期
大昔 日本アルプスの黎明期には先駆者は 猟師などの山案内人に先導され登っていた。
その当時の紀行文を読むと ガスにまきこまれ 道がわからなくなってしまったときなど、
案内ガイドは どっしり腰を落ち着け キセルをふかし 落ち着き払い その場を動かなかった。
やがて ガスは切れて 行き先の山容が見えだし、全く慌てることなく ルート設定
ができ無事行程を行けたという紀行文などあります。
山の基本は その当時でも 今日でも たとえGPSはあっても そう変わっていないのです。
冷静さがあれば それなりに対処できる。
これは昔も今も変わらない
GPS 地図磁石以前の問題なのです。
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★ 「快晴無風の山頂、トレースばっちりの雪道を10年歩いても 経験の蓄積はあまりない。」角谷道弘氏 「岳人」2006年2月号
「岳人」2006年2月号
「 私の持論では、人間は自分が体験してみないと本当に理解したとはいえない、と考えている。
書物でいくら 危険を学んでも、実際には十分役にたたない。
ヘッドランプを忘れて山へ行き、日が暮れて夜道に苦労し、山中で一晩過ごせば、
今後絶対にヘッドランプと予備電池は忘れなくなるだろう。
マイナス一五度の気温で素手でアイゼンをつけ、手袋を濡らして凍傷になって初めて、
素手になってはいけないとわかる。
稜線で吹雪かれて 初めて、吹雪かれたらどうなるのかわかるのではないか。
そういう意味で 死なない程度の失敗を重ね、そのピンチを乗り越えることが、
その登山者の本当の経験になっていく。
快晴無風の山頂、トレースばっちりの雪道を10年歩いても 経験の蓄積はあまりない。
しかし、死なない程度の有効な失敗の経験を続けるのは大変難しい。
失敗することで 、人は考えることを身につける。-------」
角谷道弘氏 「岳人」2006年2月号
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★ 「だが ただ回数を重ねれば 優れたルートファインディング能力が 身につくかというと、けっしてそうではない。」北田啓郎 氏
「テレマーク・スキーイング」 日本テレマークスキー協会編 山と溪谷社 1989年
「ツアー標識もない、ほとんど人の踏み込まないような山域をツアーしようとするとき、最も問われるのが正しいルートを見つけてゆく能力の高さである。
これを磨くためには、一回でも多くのツアー経験を積むしかない。
だが ただ回数を重ねれば 優れたルートファインディング能力が 身につくかというと、けっしてそうではない。いつも誰か先導者の後について行動し、ツアー中一回も自分でコンパスも地図も出さず、なんとなく頂上に着き、いつの間にか下へ降りてくる人、あるいは、年数は重ねているが、つねにシュプールのあるようなポピュラーなルートばかり、出かけている人の場合は、実戦的なルート発見能力はけっして高くない。
ルートファインディング能力を磨く最良の方法は、自分が先頭に立ち、パーティーを正しいルートに導かなければならないという責任感の下で、真剣に歩を進めることを出来る限り多く体験することである。」
北田啓郎 著
「テレマーク・スキーイング」 日本テレマークスキー協会編 山と溪谷社 1989年
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★ 畳の上の水練 実際に経験すること
畳の上の水練ということわざがありますが、
頭でわかっていても さて それが 実際山の中で できるかどうか。
まず実際に 危険のない範囲で 経験してみないといけません。
★ 経験は大事だが 人のあとばかり ついていたのでは ナビゲーション能力はつかない。
経験は大事だが 実際 自分で主体的に 歩くことを経験しないと 経験は生きてきません。
能力は身に付きません。
人のあとばかり ついていたのでは 実践的ナビゲーション能力はつきません。
やはり 自分で 道を切り開く 苦労を実際積んでこそ 経験の蓄積ができてくるのでしょう。
「自分が先頭に立ち、パーティーを正しいルートに導かなければならないという責任感の下で、
真剣に歩を進めることを出来る限り多く体験することである」北田啓郎氏
道迷い「迷わぬ者に 悟りなし」
山岳遭難で多い道迷い
2006年2月28日 第1版
http://www.lnt.org/
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