「趣味の山歩き ますます深くなる近くの山域」 趣深山 Copyright(c) since 2002
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闇 月夜の山歩き
昼間の山とは また違った世界が味わえる夜の山。
闇夜のなかで 遠くギョロギョロした目玉が動く。
ヘッドランプの明かりに反射した目玉がやたら目立つ。
やがて ガサガサと笹が動き、動物が、遠くに立ち去っていくのがわかる。
わざと 警戒音を出す時は 群を守るオトリ作戦で 違う方向へ相手の注意を誘導し 騙そうとしている場合も多いが、ここは素直な気持ちで単純に騙されておくことにする。
テントや小屋などで、山中泊するのもよいが、もっと 積極的に夜間の山を味わうと、全く違う 山の闇の世界が広がっているのがわかるのだ。
漆黒の闇と思われても 夜行性の野生動物には ゴールデンタイムの 快適な活動時間帯。
闇の中 活発に活動するのは 昼間とは違う 数多くの動物がひしめいている。
こうした闇夜でも 野生動物のように 人間も 夜間 灯火類を一切使わず 昼間同様に 動き回われないのか?
『マタギに学ぶ登山技術』工藤隆雄 山と溪谷社 1991
「マタギは夜道でも昼のように歩く。−−−」
「熊を追いかけているうちに暗くなることはよくあること。しかし暗いからといって懐中電灯をつけると熊に警戒されるばかりでなく、かえって視野が狭くなって周りが見えなくなるので、つけないで歩いてしまう。」
『マタギに学ぶ登山技術』工藤隆雄著 山と溪谷社 1991
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夜間行動の為の 灯火類の改良など 軍事目的では 暗視装置など工夫され いろいろな 手法が云われてきた。
だが 山歩きで 夜間 灯火なしに 昼間と同じに歩くというのは 素人には難しいことで ハードルが極めて高い。
灯火なしに 闇夜でも自由に歩き回ることができるのは マタギなど山のプロ中のプロだけが持つことのできる特技だろう。山を知り尽くし 鍛えられた マタギの世界では 夜の山を自由に 歩くことができる。
夜目になって 灯火なしの夜目の技など高度な技術。
一般的には 素人には夜間には 灯火を使う方が無難だ。
私などのような 週末登山者など 素人の分際では プロのような夜目に目を慣らして 灯火を使わず 昼間同様な動きなどは危険すぎる。
月夜は明るいものの 一般的には 素人は 灯火(あかり) を素直に使うことにする。
満月の夜は明るいが、見える星も少ない。
しかし新月の頃には 空は暗く 天空には無数の星が瞬き 星座は貴重な位置情報を与えてくれる。
もっとも星座は そんな位置情報より よりもっと おもしろい 古来からの星物語を語ってくれる。
夜間 満月の月明かりのもと 積極的に月夜の山歩く。夜の山。
視覚が限られても 頼りになるのは五感だ。
嗅覚。
野生動物 独特の きつい臭いが漂う。つい いましがたまで ネグラになっていたと思われる付近を通過。安らかな眠りを妨害したようだ。申し訳ない。
聴覚
闇の世界では 音に とくに敏感になる。
カウベルは牧童の都合でつけるもの。登山者も 牛のように カウベルをつけるものだろうか?
登山者用の常時鳴ってしまう 鈴ベルなどを牛のように つけるのは 私は どうも好きにはなれない。
常時鳴ることで 余計な音をたててしまい 自己の注意力をかえって 散漫にし 小さな音でも漏らさず聞きつける 研ぎ澄まされた 聴覚の能力を著しく低下させてしまう。
それより より早く聞きつけ 相手に応じて コチラからメッセージの音を 必要なときに必要な最低限のクラクションを鳴らす方式がいいのではないだろうか。
第一 闇夜を貫くような 新型の高性能のヘッドランプの明かりは 野生動物にとって 音以上に 十分威圧的であり脅威でありうる。
牛のようにカウベルをつけるより 灯り自体で 動物避けとしての 効果があるのが 人の灯火だ。
野生動物は自然の中で常に鍛えられている。
嗅覚、聴覚、運動能力 どれも 人間よりは桁違いに 遙かに勝っている。こちらの足音など もちろん いち早く気づいてくれる。
沢音
夜間限られた情報で 五感を高めた山歩きをすると昼間より 沢音 がとてもよく聞こえる。
谷間から あるいは 稜線近くの源頭から 聞こえてくる 沢音は 大きさで水量 、山の保水状況。沢の流れる方角 沢の位置情報などから 現在地が 今どこの位置なのかの情報も教えてくれる。
音から 教わることは とっても多い。
昼間 何気なく 気にしていないことが 夜間になると それらの 有り難みが よく分かる。
夜の山。まだまだ 面白いことが一杯ありそうだ。
昼と違う また別の山の楽しみが 味わえ 山のレパートリーがまた増えた気がする。
平成21年10月4日
1732m標高点付近にて (平成21年10月4日 撮影)
夜道。
満月の夜でも やっぱり 暗い。
ぼんやり 周りが 見えるだけだ。
夜道に日は暮れない。 五感を働かして ゆっくり 歩く。
闇と光
夜道
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「明るさに馴れた現代人の目には、暗闇の中では なす術(すべ)もなく無力だ。
恐怖心が一層増幅してパニックに陥ってしまうだろう。
暗闇を意識的に避け、免疫力が退化した現代人の弱点だ。
しかし 、野外で夜の闇と対峙することに馴れると、それ程の恐怖心はなくなる。
そこには、一日の終わりととしての夜があるだけだ。
昼と夜の二つの世界を持つ、あるがままの自然の素顔として冷静に受け止めることができるようになる。
そして、地球上の生物は同じ環境を昼と夜とに棲み分けることで共有してきたという、慎ましく賢い知恵を再認識することができる。」
『遠藤ケイの野外生活手帳』遠藤ケイ
日本放送出版協会 1997
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『夜景を楽しむ山歩き』寺田政晴 東京新聞出版局 2005
2009年10月6日 第1版制作
http://www.lnt.org/
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