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赤テープ考



「テープを含めて、私製のあらずもがなのの指導標には、私は自己顕示の臭みを感じて好きにはなれない。
山は登らせてもらったことを感謝し、なにも残さずにそっとたち去るのが本当ではないだろうか。」
   横山厚夫 「低山を歩く」1995年6月 山と溪谷社

☆所詮はゴミ



最近どこの山域でも 登山道に沿って 木の枝などに 赤いビニールテープが 付けられているのをよく見かけます。

登山者が目印にしたのでしょうが、これらが 本当に 必要なのか よく考えてみる必要があります。

結論的にいえば赤テープといえども 所詮人間の 持ち込むゴミの類で,山へ持ち込んだゴミは自分で持ち帰るべきだと思います。


回収した赤テープ。山を汚すゴミになるだけで、残置 赤のビニールテープなどは付けた人が回収すべきものです。
赤テープをつけて回収するなどすれば問題ないのですが、赤テープなど残置する行為が問題なのです。

もし回収が不可能ならば 原則的にテープなど付けないことです。

どうしても付けたいというのなら、
せめて自然に還元しやすい 綿の赤布または生分解性プラスチック使用の テープ類ぐらいにしてほしいのです。

☆登山者だけの山ではない

実際 山里の人と話した時、 一部の登山者が人の山に勝手に目印を付けてしまい迷惑だというのを直に聞きました。
その山域では 山里の人が 常に山道を 整備してくれていました。

迷わないように、 しっかり道を手入れしているのに、
一部の心ない登山者の赤テープの乱発が山里の人に 更に撤去の負担を 掛けてしまっているのでした。

山は 登山者だけでなく 山仕事の人や 山里の人など 様々な人が入り込みます。

登山者の勝手で付けるテープで 多くの人が 迷惑しているのを 直接聞いて、
やはり 赤テープは残してはいけない という考えになりました。

登山者は 山へ入るときには 地図磁石位は 持参して しっかり使えるようにして 入山すべきだなのです。

もしどうしても 往復コースで 目印を付けたい のなら絶対 自分で確実に回収、撤去すべきでしょう。

こうした一部登山者が 赤テープを付けたがる心理は、 
実は山頂などへ の私製山頂標識を付けたりする心理や 落書きする心理 と通じているとも思います。

槍ヶ岳の北鎌尾根に 目障りな赤ペンキなどが 多数付けられ(ここ)、困っているらしい、のですが 、
最近どの山でも 各地の山域に出没する落書き癖のある登山者で悩まされています。

そもそも赤 テープの類はルートを熟知した達人が付けるよりも、ルートにやや不安にある人が付ける場合がほとんどです。

間違っているところ、適切でないところにつけられたもの、
積雪期のルートなど、目印自身あまり信頼出来ないのも多いのが実情です。

赤テープを付けたがるのも 有名観光地で 記念物に落書きするのと 同じ自己顕示の心理がもとで、
変なたとえですが、犬が自己の勢力範囲を示そうと、放尿するのと まるで、 一緒に思えるのです。

☆テープしか見ない習慣

適切な指導標や登山道などが完備されている 山域でも、
以前に比べ 最近マーキングの類など増えてきています。

恐ろしいのは こうした 赤テープばかりが 多く付いている 道ばかり 登っていると、
習慣的に そのうちに 目が 赤テープに 馴れてしまって、
、赤テープばかりを 追いかけていく ルートファインディング になってしまいます。

本当に大事なのは 研ぎ澄まされた方向感覚 地形判断能力 踏み跡を 見抜く 観察力 などですが、
赤テープに頼る習慣を身に付けていると 決して養われることがありません。

目印の多さが へたなテープしか見ないで 肝心な地図磁石なども 見ず、地形をも見ず、
 テープだけを追いかけていく 変なルートファインディングの習慣がついてしまうのが 実は 本当は恐ろしいことです。

北鎌尾根のような難しいコースでは 自分でルートファインディング できることが求められています。

☆変な先入観


同じ目印に 石を積むケルン や鉈目を付けるなどがありますが、
木や枝を切る鉈目は木に傷を付けるので今では良くないとされています

石を積むのも 程々にしたいものです

この方は まだ外から ゴミを持ち込まないから せめて救えるのですが、
 自然に配列されている石の配置を 大きく変えるのはよくないのです。

テープや ケルンなどあれば どうしてもそれに 目が移ってしまい 変な先入観に捕らわれてしまい、
地図と磁石で 現物の地形を じっくり観察し ルートを見定めていく 気持ちが薄れてしまいます。

石もテープも 何もなければ 自分で考え 自ずから慎重に判断していきます。

逆に テープ頼りにいったばかりに 道迷いになり 大変な目にあったという事例もあります。

★平成18年1月2日と平成17年1月2日---"残置テープに惑わされる"

平成18年1月2日平成17年1月2日に全く同じ山域に登りました。

両日とも全くトレースなく雪山を満喫できました。
1848mの矢筈山頂からの下り、山頂から北北東へ延びる尾根を下降ルートに使いました。

途中から枝尾根に入り、やや北に振ってまた北東へ向かうのが普通のルートです。

平成17年1月2日はピストンコースでしたのでその普通のルートで下りました。
平成18年1月2日は周回コースでトレースのないところラッセルしてを一気に降りました。

18年1月2日は途中からやや北東へ振ったなと気がつきながらも、つい赤テープにつられてしまいました。
1315m標高点に近くなって、おかしいからと、 
もう一度標高差150m引き返し、水平に160m移動し
正規の尾根を確認はしましたが、

あまりに連続的に赤テープがあったため、一体どこへ下るのか気になり、
また元の戻り、 1315m標高点を経由してみましたが、あまりいいルートでもなく、
最後は急な斜面で正規ルートへ合流しました。

結局、単に 赤テープに惑わされただけでした。戻った分、時間のロスでした。

矢筈山へは79回登っていて、このコースだけでも何十回もあるはずですが、
残置赤テープの類で助けられるより、
惑わされることの方が多いのが、実情なのです。


徳島県美馬郡つるぎ町(旧 一宇村)二万五千分の一地図  「阿波中津」 「阿波古見」

平成18年1月2日平成17年1月2日のGPSログ比較

☆現実的な対応 段階的に徐々に

しかし、大勢の登山者が 入山している 現状を考えると、山域とかルートとか にもよりますが、
理想的な考えだけで、テープ問題は すぐ解決できないのが実態でしょう。 

理想を目指して 段階的な現実対応策を 順次進めていくこと しかありません。

大勢の 登山者がいても その 経験も 技術レベルも 上から下まで 色々です。

 まず 全くテープも 私設指導標もない状態など 一気にはできないないので、
現実に即して 考えられる対策としては、山域とルートに 段階的な差を付けて、
コースの 整備状況や ルートの難易度に 応じた対応が 必要でしょう。 

そしてその上で、テープとか 私設標示類は
撤去していいものと、当面は有ってもいいだろうという二通りに分類して、みる必要があるでしょう。

当面直ちに撤去していいのは、明らかに人々を 誤った方向や危険な方へ導いていまうもの。
すでに地面に落ちているもの、外れかかているもの。
立派な指導標があるにもかかわらず、ひつこく、ひつこく落書きの様に表示されているもの、
自己顕示的な広告的標示の類、目障りな、
数メートル間隔のような標示、これらは明らかに撤去しても誰からも文句はでません。

それら以外は、まあ当分は深く息を吸って、黙っておくことにしておきます。

コースの整備状況やルートの難易度に応じては、それで大分経るでしょうが、
それでも いくつかのは当面残って行くでしょう。
またルートの難易度に応じては 一気に減ってしまう ところもあるでしょう。

そして登山者全体が ゴミを残さないルールが 徹底するまでは、ビニールでなく
 自然に還元しやすい純綿などの 赤布マーキングを 仮に使用していくことが 推奨されていくことになります。

徐々にゴミを少なくするよう 浸透させていくことになります。


●「参考」

生分解性プラスチック使用の テープ類 

http://www.bpsweb.net/index.htm
http://www.taketani.co.jp/html/details003.html

☆一時の刈り払い マーキングの寿命


ところで、申すまでもなく、自然の力は物凄いものがあります。

人間の手による、一時の登山道の刈り払いなどは、その後、人が通らなかったり、
その後の適切なメンテナンスがなければ すぐに荒れ放題の道になります。

色あせたテープ、粘着力のなくなったテープなどみると、マーキングの寿命など すぐなくなってしまうものだと思われます。

山頂の標識も 何年かして 同じ山頂へ行くと 看板とか指導標は 実によく変わってしまっています。

風雨雪に耐え長い間、同じ看板などありません。山頂への私設看板は ゴミを増やすだけで、止めるべきです。

不用意なマーキングは人を却って 深い深い迷路へ導いてしまうのです。 

人がどう言おうと、歩むのはあなたです。自ら道を考え 探し出すのが 自己責任での山での行動というものです。

☆ルートファインディングの楽しみ


そもそも 山の楽しみの一つにルートファインディングがあるのです。

その楽しみは 奥深いもので、 じっくり地形を観察しルートを 見つけながら行くことで 、
歩いたところが道になるところで山登りが人生にたとえられることにもなります。

赤テープ 赤ペンキ 石積みケルン などのマーキングは、
 あとからくる登山者にそのルートファインディングの楽しみを奪う結果になるのです。

地図磁石だけでなく 最近は高度計 やGPSなども 普及し、現在地確定は そんなに難しくありません。

雪山のルートは 夏道では危険なところがあります。冬期に付けたテープが夏には人を迷わします。

夏付けたテープは冬期には使えません。どちらも本当は撤去すべきものなのです。

ミニマムインパクトで自然に親しむのは痕跡を残さない基本です

☆GPSの活用

赤テープなど 目印を付たがる心理の一つには 帰り道の不安感によるものがあります。

その山域に熟知している人は テープなど付けません。
大抵 初心者もしくは中級者など 山域に不安感がある人が 付けるケースが 殆どではない でしょうか。

最近特に普及してきた GPSの活用は 赤テープより 遙かに 有益な 情報を 常に与えてくれます。

GPSの取り扱い に習熟すれば テープとは比較にならない 安心感が 常に えられます。

万が一のことを考えて 赤テープを使うのでしょうが、 
その代わりに GPS を積極的に 使うようにすれば 赤テープなど の目印は 大いに減ってしまうと思います。

赤テープ 付けるぐらいなら GPS を 使え というのが 私の主張です。

☆ テープ問題で 大変参考になるWEBサイト

三段山クラブ様の
冬山の残置テープはいらないです。

「 どんなに酷い気象条件下でも、こんな間隔の大量のテープは必要ないので理解に苦しみます。
しかも自然分解しないビニルテープをこんなに残置するなんて、信じられません」


風雪など 厳しい気象条件の山域でも 残置テープは いらないと されてきています。
もし どうしても付けるのなら つけた本人が、自分で撤去すべきものなのです。

 まして 温暖地の好条件のもとで 登山されている方々の場合 安易なテープ頼りのルートファインディングは、
自らのルート発見応力の低下をもたらすばかりの結果になります。


2002年10月10日 第1版制作
2006年3月 17日 更新
http://www.lnt.org/


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