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縦走 周回 登山


車は一切使わず

「通常、数泊を要するコースを日帰りでやってしまうような早駆け登山をカモシカ山行などと呼ぶが、稲沢久夫さんは、たとえば、馬場島から剱岳の早月尾根を登り、帰路は大日連山を踏み越えてその日のうちに称名滝方面へ下山といったような驚異的な山行を幾年にもわたって日常的に実践されている。

馬場島7:00 早月小屋9:25 剱岳11:25 剱御前小屋13:10 大日小屋15:40 称名川17:45
このコースは初走破81年以来年に2−3回ずつ14年間継続した。

山行はすべて単独行。従ってどこへ行こうと自由で折立峠までいってその先のコースを決めることも。
車は一切使わず、鉄道とタクシーを利用。ために入山地点に帰る必要がなく、勢い縦走的山行が多くなる。」

橋本 廣編 「とやま山紀行」 1996年12月20日発行 桂書房


☆アプローチを歩く


最近の登山者は往々にして林道の奥まで車で行って、アプローチを短縮していることが、多いようです。時間短縮でしょうが、いよいよの登山口でいきなりの急登を登るのは、暖機運転なしに、いきなり全力疾走するようなものです。ウォーミングアップのつもりで多少なりとも林道などのアプローチを歩いてみるのもいいと思います。

☆縦走か周回かピストンか

登りと下りと同じコースをとるのはまず基本です。登りの途中で予定外のことがあった場合でも、その時点で引き返せば、下りでの不安が解消され、安全性が高いと思います。ただ登りのコースが極端なバリエーションルートであれば、途中からは降るより上に抜けてしまって、より安全な一般道があれば、それを利用するほうが安全性が高まる場合もあります。
縦走は山並みの上を縫っていく魅力のあるコースです。往復のピストンコースにない大きな感動と達成感を得ることになります。
ただ縦走登山すると、車で行く場合には、どうしても車の回収に困ります。周回登山はその苦労を少なくするため、計画されます。コースの選定やエスケープルートの配置に知恵を絞ります。

☆車の回収

1 車を2台以上使う
2台以上で行き、あらかじめ下山地点へ下山用の車をデポしておく、のはよく使われます。
ただし、また登山口まで回収に行かなくてはならず結構面倒です。またパーティーの構成などにも影響されます。
スピードのでない狭い林道を行き来して、かなりの時間的ロスがあります。縦走路で効率よく、うまく設定できれば良いのですが、エスケープルートを含めて、なかなか作戦が上手くいくとは限りません。
これの変形として両方の登山口から縦走していき山中で車のキーを交換するという手もありますが、連絡の取り合いとか、エスケープルート選択時のことを考えておく必要があります。
2 バス タクシーなどの利用
公共交通機関を利用すれば下山ルートに制限がなくなりますが、チャーターバスならともかく、やはり一般の交通機関には運用時間の限りがあります。路線バスが上手く設定されているところを選び、かつ、バスの時間に乗り遅れくれないように行動に余裕をもって計画しておく必要があります
3 自転車 単車を車に積んでいって下山口にデポする。
これは基本的に1の車2台のときと同じ悩みが出て来ますが、単独行でもできるという最大の利点があります。
さらに、自転車なら標高差を考え下る方向に使えば精神的にぐっと楽になります。
4 ヒッチハイクなど

山中で 他の登山者に便乗するならともかく、地元の人を頼みとして、 これを始めから 予定に組み入れるのは登山者としては色々と議論のあるところです。 一部の観光地化した場所を除き、一般的に山中深いところは原則的に、車の通行は極めてわずかです。山は山里の人によって守られていると思います。ただでさえ過疎化が進み廃屋が増加し、高齢化や林業などの衰退など山里の現状を見れば、たとえ善意のつもりで 地元の人からの申し出があっても、それに頼るのは、山里の人に 結果的に負担となるようなことであって、基本的に良くありません。登山者は遭難時だけでなく 有形であれ無形であれ、地元の人に大きな迷惑をかけることがあってはならないと気付くべきです。
その上、今では、山奥の主力産業はかつての林業から土木建設工事になっています。昨今は工事現場までの行き帰りに万が一にも工事車両の転落事故などの発生がないようにと、工事車両については工事発注官公庁から安全対策をきつく指導されているようなので、登山者など第三者の便乗は厳禁という傾向が強いと思います。
冷たいようですが、山間地での人々の生活ペースを乱すのは良くありません。登山者は登る山が地元の山里の人によって守られているという中で、登らしてもらっているのですから、そういう感謝の気持ちを持って登るべきだと思います。始めから歩く気持ちを持っていれば、通り過ぎていく 車の横を歩いていても別に気落ちもありません。
5 結局は一番頼りになるのは歩くこと
バスの時間とか一切気にせずに、ただひたすら車をデポした駐車地点まで歩くこと。これが一番確実です。エスケープルートなど予定外のことがあっても臨機応変に対応できます。始めから歩くつもりでいれば精神的には一番楽なのです。

☆私の山日記から

何事も計画通りにはいかないものです。途中、予定外に時間を喰ってしまうことは日常茶飯事です。

「T岳までの予定は やはり無理だ。ガスがでて、暗闇が迫りつつある。無理せず Sへ降りよう。林道16k位は大したことはない。安全策を採った方が良いだろう」平成12年4月22日16時48分k岳山頂にて

「暗闇から すっと車が突然現れた。助かった」22時48分

矢筈山(1848) 黒笠山(1703)平成12年4月22日の記録 

後日談


1ヶ月後同じコースで再挑戦しました。K岳へはあの時に比べ僅か1時間早く着いただけですが、たったそれだけの差で予定の縦走コースを完歩できました。
日の長さ、積雪状況の違い、天候の安定性、体調など色々な要素を考えて安全策を取るのが大切なのです。


2003年5月30日 第一版
2004年12月23日 改訂増補
2006年3月20日更新
http://www.lnt.org/

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